2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25462983
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊池 雅彦 東北大学, 大学病院, 教授 (60195211)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カンジダ / 有床義歯 / 口腔衛生 / リスク要因 / ストマスタット |
Research Abstract |
本研究は、健康面で自立している高齢者から施設等で寝たきりの高齢者まで、様々な状態にある高齢者を対象に、義歯装着の有無や種類・形態の情報に加え、これまでカンジダ菌との関連が示唆されてきた各種要因について調査し、カンジダ菌と義歯装着との関連を中心に検討することを目的としている。 はじめに、すでに蓄積された70歳以上の高齢患者のデータについて、義歯装着と各種要因との関連を検討するために、カイ2乗検定により解析を行った。被験者は、訪問診療を含む歯科診療を行った70歳以上の高齢患者396名(年齢70~104歳,平均81.5±6.9歳)である。 結果として、義歯装着なし/ありと、カンジダ菌陰性/疑陽性・陽性(p=0.025)、年齢70~79歳/80歳以上(p=0.023)、現在歯数20本以上/19本以下(p<0.000)、うがい可/困難・不可(p=0.008)、歩行自立/要介助・不可(p=0.020)との間で有意な関連が認められた。義歯装着なし/ありと、性別男/女(p=0.613)、住居居宅/施設(p=0.189)、口腔衛生良好/不良(p=0.238)、認知症なし/あり(p=0.391)、全身疾患なし/あり(p=749)、全身疾患数2以下/3以上(p=0.663)との間では関連は認められなかった。一方、カンジダ菌陰性/疑陽性・陽性と、年齢70~79歳/80歳以上(p=0.639)とは関連がなく、現在歯数20本以上/19本以下(p<0.003)、うがい可/困難・不可(p=0.001)、歩行自立/要介助・不可(p<0.000)との間で有意な関連が認められた。 これらの結果から、高齢者における義歯装着がカンジダ菌検出のリスク要因か否かを検討する上で、現在歯数および、うがい・歩行の可否といった身体機能やADLなどの交絡因子を考慮する必要があることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで蓄積されたデータの解析を行い、今後の研究の推進に有益な結果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
70歳以上の歯科患者を被験者とし、研究の趣旨と安全性について説明し同意を得る。 カンジダ菌検出用簡易試験液・ストマスタットを使用してカンジダ菌の検出を行う。検体の採取は、被験者共通で頬粘膜を擦過するほか、義歯装着者については義歯粘膜面を擦過する方法も追加する。 口腔衛生に関連すると考えられる要因として、口腔内状態、義歯装着者の状況、全身状態および居住環境について調査する。調査項目:口腔内状態(口腔清掃状態、舌苔の付着状況、義歯使用の有無)、義歯装着者の状況(義歯の種類・形状、義歯の汚れの程度、義歯床下粘膜の発赤の程度、清掃者・1日の清掃回数・清掃時間、清掃器具、義歯洗浄剤使用状況)、全身状態(うがいの可否、日常生活自立度、抗生剤・その他の服用薬剤)、居住環境(居住場所の種類)
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初参加を予定していた学会に参加できなかったことや、謝金支払いの対象となる人員の確保が十分でなかったために生じたものである。 次年度使用額は、平成26年度請求額とあわせ、平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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