2014 Fiscal Year Research-status Report
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25462983
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菊池 雅彦 東北大学, 大学病院, 教授 (60195211)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カンジダ / 有床義歯 / 口腔衛生 / リスク要因 / ストマスタット |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢患者を対象に義歯装着の有無や種類・形態の情報のほか、カンジダ菌との関連が考えられる要因を合わせて調査し、カンジダ菌と義歯装着との関連を検討することを目的としている。今回は、新たに訪問による歯科診療を行った70歳以上の患者39名(男性8名、女性31名、年齢70~102歳,平均85.5±7.9歳)について、義歯装着と各種要因との関連を検討した。カンジダ菌検出については、検体を頬粘膜から採取し、義歯装着者では義歯粘膜面からも採取した。 義歯装着者は31名、非装着者は8名であった。義歯装着の有無と関連がみられたのは現在歯数のみで、カイ二乗検定(p=0.019)、Spearmanの相関係数(rs=0.432:p=0.006)で有意な関連を示した。義歯装着の有無とカンジダ菌検出は関連がみられず、他の要因(年齢、性別、住居、口腔清掃状態、うがいの可否、歩行能力)との関連もなかった。義歯装着者(n=31)においては、頬粘膜からのカンジダ菌検出と義歯粘膜面からのカンジダ菌検出との間で強い関連(カイ二乗検定p=0.001、rs=0.712:p=0.000)がみられた。一方、頬粘膜からのカンジダ菌検出は、上顎全部床義歯装着と弱い関連(カイ二乗検定p=0.05、rs=0.352:NS)を示した。義歯粘膜面からのカンジダ菌検出は上顎全部床義歯装着と中等度の関連(カイ二乗検定p=0.011、rs=0.459:p=0.009)を示し、歩行能力との間でも弱い関連(カイ二乗検定p=0.043、rs=0.363:p=0.045)を示した。 これらの結果から、被験者全体では義歯装着の有無とカンジダ菌検出との関連はないものの、義歯装着者に限定した場合には、カンジダ菌検出は上顎全部床義歯装着と関連があるほか、歩行能力とも関連することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに収集したデータについて、統計学的に解析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの当教室の先行研究では、義歯装着の有無とカンジダ菌検出は関連がないことが報告されており、今回の研究でも同様の結果が得られた。一方、今回の研究では、義歯装着者の義歯の種類・形態(上顎・下顎、全部床・部分床)の情報を収集し、義歯粘膜面からも検体を採取した結果、カンジダ菌検出は上顎全部床義歯装着と関連があることが示され、新たな展開が期待される。今後、さらに被験者数を増やし、統計解析にロジスティック回帰分析を追加して、カンジダ菌検出に影響を及ぼす要因を絞り込む予定である。
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Causes of Carryover |
謝金支払いの対象となる大学院生が最終学年を迎え論文作成等に時間が割かれ、本研究に協力する時間が得られなかったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は、平成27年度請求額と合わせ、平成27年度の研究遂行に使用する予定である。
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