2013 Fiscal Year Research-status Report
2型糖尿病に伴うドライマウス発症メカニズムをターゲットとした新規治療法の開発
Project/Area Number |
25463011
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
近藤 祐介 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (00611287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中本 哲自 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (30514989)
向坊 太郎 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (50635117)
細川 隆司 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (60211546)
正木 千尋 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (60397940)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯学 / 2型糖尿病 / 口腔乾燥症 / 唾液腺 |
Research Abstract |
近年,本邦において高齢社会の進展と食生活の欧米化などが原因となり糖尿病患者数は増加し続け,2012年の国民健康・栄養調査では「糖尿病」と「糖尿病予備群」の合計は2,050万人に及び,国民の5人に1人が糖尿病とも言われている.一方,糖尿病と口腔乾燥症との関連はこれまでに多く報告されて(Jawed et al, Journal of Diabetes and Its Complications, 2011,Carolina et al, Journal of Oral Science, 2010.)いるものの,そのメカニズムについては統一した見解が得られておらず,根本的な治療法も確立していないのが現状である.そこで本研究では2型糖尿病モデルマウスを用いてEx vivo顎下腺灌流実験を行うことにより糖尿病と唾液分泌との関係について明らかにし,さらに分泌に関わる膜タンパクやシグナル伝達について解明することを目的とした. 本研究では,2型糖尿病モデルマウスである(KK-Ay mice)を用い,まず形態・組織学的解析を行った.その結果,2型糖尿病モデルマウスではコントロールマウスと比較して顎下腺重量が有意に増加していることおよび,HE染色像より導管細胞の割合が増加していることが確認された.その一方,免疫組織染色により2型糖尿病モデルマウスおいてもAQP5やNKCC1といった唾液分泌に重要なチャネルやトランスポーターは正常に局在していることが確認された.次いで,Ex vivo顎下腺灌流実験を用いて顎下腺自体の唾液分泌能を評価した.その結果,Ex vivoモデルにおける唾液分泌量には差が見られなかった.しかし,糖尿病により誘発される血漿の高浸透圧を再現するため,灌流液の浸透圧を増加させたところ,唾液分泌量が有意に抑制された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,2型糖尿病モデルマウスを用いた組織的解析および唾液腺機能評価は遂行され,2型糖尿病において唾液腺機能が低下するメカニズム解明に向けて順調に経過している.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果より,2型糖尿病における唾液分泌低下に血漿の高浸透圧が関与している可能性が示唆された.今後,高浸透圧がNKCC1やNHE1、AE、AQP5など唾液腺膜タンパク質の機能、さらに細胞内カルシウムシグナルに及ぼす影響について検討する予定としている。
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