2015 Fiscal Year Annual Research Report
2型糖尿病に伴うドライマウス発症メカニズムをターゲットとした新規治療法の開発
Project/Area Number |
25463011
|
Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
近藤 祐介 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (00611287)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中本 哲自 松本歯科大学, 歯学部, 教授 (30514989) [Withdrawn]
向坊 太郎 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (50635117)
細川 隆司 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (60211546)
正木 千尋 九州歯科大学, 歯学部, 准教授 (60397940)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 唾液腺 / 糖尿病 / 口腔乾燥症 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔乾燥症はカリエスリスクの上昇や歯周疾患の増悪を引き起こし,歯科補綴治療にとってリスクとなる疾患である。糖尿病は口腔乾燥症と一因とされるが,その詳細なメカニズムについては不明な点が多い.そこで本研究では2型糖尿病モデルマウスを用い,糖尿病が口腔乾燥症を引き起こすメカニズムを解明することを目的とした. 糖尿病モデルマウスとしてKK-Ayを,コントロールとしてC57Bl/6J を用いた.唾液腺機能の評価には,Ex vivo マウス顎下腺灌流モデルを用いてCarbachol(CCh: 0.3 μM)刺激による唾液分泌量, 唾液中イオン濃度(Na+,Cl-)を測定した.腺房細胞と導管細胞それぞれの面積はHematoxylin-Eosin 染色像から解析した.膜タンパク質の発現の評価は免疫組織化学を用いた.さらに,分散細胞を用いたCa2+イメージングを行い,CChもしくはThapsigargn(TG: 1mM)刺激による細胞内Ca2+濃度の上昇を評価した. KK-Ay ではコントロールと比較して,ex-vivoモデルにおける唾液分泌量と唾液中のNa+およびCl-濃度が有意に低下していた.組織学的にはKK-Ayで導管細胞容積が上昇していたが,腺房細胞容積はKK-Ayとコントロールで同等だった.また,免疫組織化学においてAquaporine5,NKCC1,TMEM16Aの発現はKK-Ayとコントロールいずれにもみられた.CChによる細胞内Ca2+の上昇は,細胞外のCa2+の有無に関わらずKK-Ayにおいて有意に低値を示した.一方でTGによる細胞内Ca2+上昇に有意差はなかった. 以上の結果より,KK-Ayマウスでは, 小胞体からのCa2+放出に低下しCa2+濃度の上昇を抑制され唾液分泌が低下していること,導管細胞の増加が唾液中Na+およびCl-濃度の低下に関与することが示唆された.
|