2013 Fiscal Year Research-status Report
傾斜機能型ナノハイブリッドインプラントの実用化に向けた幹細胞のホーミング機構解析
Project/Area Number |
25463012
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
武部 純 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (50295995)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 明 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (20356439)
帖佐 直幸 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (80326694)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 表面・界面物性 / 遺伝子 / 骨髄由来間葉系幹細胞 / シグナル伝達 / 口腔インプラント / 純チタン / 陽極酸化・水熱処理チタン / 歯学 |
Research Abstract |
我々は、口腔インプラント治療への臨床応用を目指して、純チタン(cpTi)表面へ陽極酸化(AO)処理と水熱処理を行うことで、傾斜機能化とナノハイブリッド化を施した傾斜機能型ナノハイブリッド(SA処理)インプラントを開発し、in vitroモデルにて有用性を報告してきた。我々は、骨髄由来間葉系幹細胞(BMMSC)の関与が必須であると推察している。そこで、申請期間ではSA処理cpTiインプラントの臨床への実用化に向けた検討を行うべく、マウスの骨髄より採取したBMMSCを用いた実験モデルを構築し、BMMSCホーミング機構の観点から、BMMSCの骨組織、上皮・結合組織への関わりを実証することを目的とする。本申請初年度の平成25年度の研究では、GFPマウスBMMSCを用いて、培養シャーレ表面上、未処理のcpTi、AO処理cpTi、SA処理cpTiの各試料表面上における骨基質形成期、石灰化期におけるBMMSCの分化マーカーを指標にした解析を行った。解析にはReal-time PCR法を用い、培養7-28日間におけるBMMSC分化マーカーには、ALP、Runx2、Osx、OCNを用いた。培養28日では、SA処理cpTiは未処理のcpTiとAO処理cpTiに比較して、ALP、Runx2、Osx、OCの各mRNA遺伝子発現が有意に高まることが示唆された。この現象は、AO処理cpTiに水熱処理を施すことで、①SA処理cpTi表面上の陽極酸化被膜がナノ構造となること、②SA処理cpTi表面上では高い表面自由エネルギーと親水性を有すること、これらSA処理cpTiのもつ表面性状・ナノ構造体がBMMC細胞内シグナル伝達系に関与したことによるものと考えられた。平成25年度の研究成果から、SA処理cpTi表面上においては、培養BMMSCの石灰化形成促進が認められ、インプラント表面上における骨髄由来間葉系幹細胞のリクルートメントの一端が確認され、SA処理cpTiでは有利であると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は、研究計画立案当初は、マウス骨髄より骨髄細胞を採取し、培養して骨髄由来間葉系幹細胞(BMMSC)樹立をした後に、培養シャーレ表面上、未処理のcpTi、AO処理cpTi、SA処理cpTiの各試料表面上にて培養し、細胞分化を検索する予定であった。 しかし、我々は、BMMSCを樹立させ、凍結・保存することに成功したため、より簡便に各種試料表面上にて細胞培養を行うことが可能となったため。 また、平成25年度にて検討したmRNA遺伝子発現について、タンパク質発現レベルでの検証に着手したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の解析には、Real-time PCR法を用いてALP、Runx2、Osx、OCの各mRNA遺伝子発現解析を実施してきたが、今後も追加実験を行い、再現性について確認予定である。さらに、タンパク質レベルでの検証を行っていく予定である。 また、培養シャーレ表面上、未処理のcpTi、AO処理cpTi、SA処理cpTiの各試料表面上における細胞増殖能、細胞形態分析、細胞内シグナル伝達系について検証していく予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度内に計画した研究内容が終了し、当初予定の試薬購入を次年度に繰り越すことが可能となったため。 次年度に、購入する試薬費用に充てる。
|
Research Products
(11 results)