2014 Fiscal Year Research-status Report
傾斜機能型ナノハイブリッドインプラントの実用化に向けた幹細胞のホーミング機構解析
Project/Area Number |
25463012
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
武部 純 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (50295995)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 明 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (20356439)
帖佐 直幸 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (80326694)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯学 / 遺伝子 / 骨髄由来間葉系幹細胞 / 歯肉上皮細胞 / シグナル伝達 / 口腔インプラント / 純チタン / 陽極酸化・水熱処理チタン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究課題では、純チタン(Ti)表面へ陽極酸化(AO)と水熱処理を行うことで形成される傾斜機能化とナノハイブリッド化を施した傾斜機能型ナノハイブリッド(SA処理)インプラント表面上での骨髄由来間葉系幹細胞(BMMSC)データをもとに、我々は、マウス由来歯肉上皮細胞(GE1)を各試料上に播種して7日間培養後、①SEMによる細胞形態分析、②分光光度計を用いた細胞増殖分析、③Real-time PCRを用いたFAK、integrin-α6β4、laminin-5(α3、β3、γ2)遺伝子発現解析を行った。SEM分析では、日数経過にともない、SA処理表面上では、Ti、AO処理に比較して陽極酸化皮膜上に密に細胞が接着しているのを認めた。細胞増殖能分析、Real-time PCRを用いた遺伝子発現解析では、日数経過にともない、SA処理チタンではTi、AO処理に比較して有意に高い値を示した。 平成26年度の結果より、SA処理の特徴である表面性状(表面の物理化学的・微細構造)により、SA処理表面上では、TiとAO処理に比較して歯肉上皮細胞の伸展と接着効果が高まること、歯肉上皮細胞内シグナル伝達系のpositiveな変化により細胞増殖能と細胞接着マーカー遺伝子発現が高まることが明らかとなった。これらの現象は、平成25年度に分析したBMMSCでの骨原性細胞の分化マーカー遺伝子発現解析結果と同様の傾向を示しており、傾斜機能型ナノハイブリッドインプラントでは、口腔領域/歯肉・骨組織部位の界面であるインプラント頸部と周囲上皮細胞との接着性を有意に向上させる機能を有することが明らかとなった。さらに、傾斜機能型ナノハイブリッドインプラント表面への上皮細胞接着性は、インプラント体と周囲骨とのオッセオインテグレーションの恒常性に有利であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は、平成25年度に遂行した傾斜機能型ナノハイブリッド(SA処理)インプラント、未処理Ti、AO処理Tiの各試料上にて骨髄由来間葉系幹細胞(BMMSC)の培養、遺伝子発現解析、生物学的評価を行った結果をもとに、平成26年度では歯肉上皮細胞を用いた解析を実施した。平成26年度に取得した結果は、平成25年度で得られた研究データを支持するものであり、次年度への計画に着手できる結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の解析では、マウス由来歯肉上皮細胞(GE1)を各試料上に播種して7日間培養後、①SEMによる細胞形態分析、②分光光度計を用いた細胞増殖分析、③Real-time PCRを用いたFAK、integrin-α6β4、laminin-5(α3、β3、γ2)遺伝子発現解析を行った。 今後は、今回得られた結果をもとに、骨髄由来間葉系幹細胞(BMMSC)、上皮細胞におけるタンパク質レベルでの検証を行っていく予定である。 さらに、これら両細胞により得られた結果をもとにして、口腔インプラント/歯肉・骨組織界面における傾斜機能型ナノハイブリッドインプラントモデルを構築し、臨床応用へ向けた検証を実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
研究は概ね良好に進んでおり、当初の予定金額よりも使用額を抑えることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に購入する試薬費用に充てる。
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Research Products
(6 results)