2013 Fiscal Year Research-status Report
ナノサイズのアパタイト粒子を応用した硬組織伝導デバイスの開発
Project/Area Number |
25463013
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
平 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (60179398)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 生体材料 / ナノアパタイト / 硬組織再生 / 医療デバイス / コラーゲン複合体 |
Research Abstract |
アパタイト骨補填材は高い生体親和性と骨伝導能からインプラント治療で多用されている.しかしながら,既存のアパタイト骨補填材は粒子径が大きく代謝性が低いために新生骨との置換に長期間を要する欠点を有している.本研究では,粒子径がナノサイズのアパタイト(nHap, 40 nm径品, SofSera)が早期骨伝導能を示す可能性があると考え,同粒子を医療用コラーゲンに配合し,ラットの頭蓋骨欠損部に埋入して骨再生の程度をマイクロCTと組織観察によって評価することによって,新規骨補填材の開発を企図した. nHAp(0.3g)を中和した医療用コラーゲン (1g/水28ml)に混練し,-80℃ 3時間の予備凍結後,12時間凍結乾燥し, 6mmφ×1mmの円盤状試料に打ち抜いた(nHAp/Col)。対照としてコラーゲンのみの試料(Col)も作製した.動物実験倫理委員会の承認を得た後,雄性Wistarラット10週齢12匹の頭蓋骨に対して直径6mmのトレフィンバーを用いて骨欠損部を形成した.頭蓋骨欠損部には2種類の試料を各3匹ずつ埋入し縫合した.術後,4週および8週経過後、ラットを安楽死させ,マイクロCTによるエックス線学的評価を行った.非脱灰薄切研磨標本のビラヌエバ染色による組織学的評価も行った. 4W,8Wに至る骨欠損部における骨再生の程度は,複合体(nHAp/Col)埋入ケースで大きく,Col単独埋入ケースで相対的に小さかった.複合体(nHAp/Col)埋入時,新生骨量は4Wで最大となり8Wで減少した.この減少は破骨細胞の活動が緩慢なことと,マクロファージのnHAP粒子の貪食が活発なためと考えられた. 複合体(nHap/Col)は頭蓋骨欠損部において早期骨伝導能を有するものの,その維持・増加には別の因子の導入(例,マクロアパタイトの併用)が必要と考えられた.以上の組み合わせによって,複合体(nHap/Col)は新規骨補填材に有用と考えられた.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験計画書に記載の項目のうち重要部分の研究は達成された.ナノアパタイト(nHap)の材料学的評価(TEM,粒度分析)も行った.ナノアパタイトの圧粉体は砕け易いため骨欠損部での埋入をあきらめた.ナノアパタイトの骨欠損部への埋入はコラーゲン(Col)との複合化が必要であった.コラーゲンは欠損部で血液成分を吸収し,欠損部での埋入材料の保持や骨系細胞の足場として有用であった.欠損部への埋入実験は一部のラットで12Wまで行い8Wでの知見の確認も行った. さらに,骨芽細胞を用いてnHap/Col複合体上での細胞接着や骨系分化誘導に検討を加え,優れた骨伝導能を確認している.
|
Strategy for Future Research Activity |
実験計画書(提出済み)の記載の通り, 1)マクロファージ細胞を複合体上で培養し,貪食傾向を調べる。また、破骨細胞を播種し、破骨細胞の誘導や分化に検討を加える. 2)足場材料をコラーゲン以外のポリ乳酸やポリグリコール酸に替え,nHap複合体を調製した上で骨伝導能に検討を加える. 3)nHapの原料からフレーム状に焼成したアパタイト焼結体を調製し,骨伝導材料として評価する. 4)nHapにペプチド修飾を施し成長因子を結合させ,骨再生誘導に資することを検討する.また,幹細胞とnHapを結合させ,細胞移植担体としての効果を蛍光発色マウスの細胞等を利用して検討する.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
動物研究を行うにあたり習熟と時間を要したため研究費の使用を次年度に繰り越した。非脱灰標本の作製では、複合体(nHap/Col)の8W埋入後、ラットを安楽死させた後、さらにアルコール固定、脱脂、レジン含侵、レジン重合に3から4ヶ月を要する。この作業は外部の専門業者に依頼するため予算の繰り越しを行った。得られる組織病理学的知見は本研究を実施するにあたり必要不可欠である。また、動物実験を実施するにあたり動物愛護の観点から使用ラット数の減少依頼や飼育スペースの制限もあるため、予算繰り越しを行った。 上記の非脱灰薄切研磨標本の加工は時間がかかる上に、加工委託費も数十万円と高額であり初年度残余金は、この費用に充当する。また、ラットの購入費に充当する。本年度の研究では細胞培養と生化学的評価を予定しており、比較的高額な必要試薬の購入にも充当する。
|
Research Products
(7 results)
-
[Journal Article] Novel SCRG1/BST1 axis regulates self-renewal, migration, and osteogenic differentiation potential in mesenchymal stem cells.2014
Author(s)
Aomatsu E., Takahashi N., Sawada S, Okubo N, Hasegawa T, Taira M, Miura H, Ishisaki A, Chosa N.
-
Journal Title
Scientific Reports
Volume: 4
Pages: 3652
DOI
Peer Reviewed
-
-
-
-
-
-