咀嚼のメカニズム，視覚野を介する口腔感覚の情報処理

2013 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 25463029
• Research Institution: Nihon University
• Principal Investigator: 神谷 和伸 日本大学, 歯学部, 助手 (30267108)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 成田 紀之 日本大学, 歯学部, 准教授 (10155997) ; 石井 智浩 日本大学, 歯学部, 助手 (50246922)
• Project Period (FY): 2013-04-01 – 2017-03-31
• Keywords: NIRS / fMRI / 咀嚼 / 口腔感覚遮断 / 咀嚼の想起 / 形状弁別 / 後頭皮質

Research Abstract

口腔感覚が視覚野を介する情報処理にかかわることが推察され，機能的には，口唇，舌，頬粘膜を傷つけることなく，食塊のみ粉砕できる咀嚼の巧緻性の一端を表出しているものと考えている。本研究においては，光トポグラフィー（f-NIRS）ならびに機能的MRI(f-MRI)を用いて，咀嚼時の口腔と視覚野の関連を明らかとし，新たな咀嚼システムの解明を試みている。
本研究における実験課題は以下の1～6である。
1. ガム咀嚼時の後頭皮質活動性（体性感覚連合野SACならびに視覚野V1～V3）の同定
2. ガム硬さによる体性感覚連合野SACならびに視覚野V1～V3活動への影響
3. ガムの大きさによる体性感覚連合野SACならびに視覚野V1～V3活動への影響　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　4. 口腔感覚遮断による咀嚼時の体性感覚連合野SACならびに視覚野V1～V3活動への影響　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　5. 咀嚼想起による体性感覚連合野SACならびに視覚野V1～V3活動への影響　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　6．口腔形状弁別による後頭皮質活動の検討を加えることで，咀嚼ならびに咀嚼効率と，口腔形状弁別能との関連からも考察する。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

現在までに，咀嚼時ならびに形状弁別時の後頭皮質活動について検討し，いずれの課題においても後頭皮質活動を確認している。
１．咀嚼時の後頭皮質活動については，NIRS計測において，咀嚼のPhaseに一致した，体性感覚連合野，視覚連合野ならびに一次視覚野の活動性を確認している。さらに，その活動性は，食品の大きさや硬さの増加に伴って強まることを明らかとした。
２．口腔による形状弁別時の後頭皮質活動については，咀嚼と同様にして，体性感覚連合野，視覚連合野ならびに一次視覚野の活動性を確認している。本研究結果は現在，国際誌に投稿中である。
今後，口腔内の麻酔による咀嚼ならびに口腔形状弁別への影響，さらには咀嚼の想起あるいは形状の想起による後頭部皮質活動の様相からその機能的意義が明らかとなると考えている。
本研究は，f-NIRSばかりかf-MRIによる口腔機能のシステム評価を目的としていることから，今後の研究期間の3年間，積極的に遂行したいと考えている。

Strategy for Future Research Activity

今後，表面麻酔剤による，口腔内への麻酔による咀嚼ならびに口腔形状弁別への影響や，咀嚼の想起あるいは形状の想起による後頭皮質活動の様相から機能的意義が明らかとなるものと考えている。とくに，f-MRIによる咀嚼時ならびに形状弁別時の皮質活動の検討は，口腔系の機能システムとして，とくに口腔の形状弁別ならびに咀嚼の特質を引き出したいと考えている。
f-MRI研究においては本学の施設を使用するが，本年から実験を開始して，計測条件の至適設定にとりかかる必要がある。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

国際学会への参加を本年度に繰り下げたこと，ならびに，昨年度に予定していた脳血流装置のメンテナンスを26年度に行う予定としたことから，次年度使用額が生じた。
26年度は2年目にあたり，経費として，パーソナルコンピューター，脳血流装置メンテナンス費用，論文校正，投稿，学会発表にかかわる申請を予定している。