2013 Fiscal Year Research-status Report
接着耐久性の優れた象牙質-接着性レジンセメント-セラミックの接着システムの構築
Project/Area Number |
25463030
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
會田 雅啓 日本大学, 歯学部, 教授 (40147715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
若見 昌信 日本大学, 歯学部, 講師 (60297851)
西山 典宏 日本大学, 歯学部, 教授 (90112953)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 接着 / セラミック / 象牙質 / 接着性レジンセメント |
Research Abstract |
本研究は,申請者らがこれまでに構築した「新規セラミックプライマーを用いたセラミックとレジンとの接着システム(基盤研究(C))」および「新規セルフエッチングプライマーを用いた象牙質に対するレジンの接着システム(基盤研究(C))」を基に,これらを用いてセラミックを象牙質に接着させる場合の接着レジンセメントの条件(厚さ,重合様式,光照射時間)およびセラミックの光透過性が接着耐久性に及ぼす影響を調べ,セラミック-接着性レジンセメント-象牙質の効果的な接着システムを構築することである。 申請者らが開発した象牙質セルフエッチングプライマーであるN‐メタクリロイルグリシン(Gly)またはグルタミン酸(Glu)水溶液と新規セラミックプライマーを併用した場合の市販接着性レジンセメントの接着性を検討した。被着体にはセラミック板またはガラス板を用いた。GlyまたはGlu水溶液にて象牙質を処理し,また,新規セラミックプライマーでセラミック板またはガラス板を処理した後,市販接着性レジンセメント(リライエックスベニア,ビスタイト,レジセム,リライエックス,マルチボンド,リンクマックス,クリアフィル)にて両者を接着し,重合して接着試料体とした。接着試料体は36℃の温水中に24時間保管した後,直ちに圧縮せん断接着強さを測定した。 その結果,被着体がセラミック板ではGlyで0.57~4.49MPa,Gluでは0.34~1.18Mpaであった。ガラス板ではGlyで0.39~5.87MPa,Gluでは0.20~7.05Mpaであり、市販レジンセメントの接着システムより、低い値を示した。破壊は象牙質/レジン接着界面で起こっており,試作したセルフエッチングプライマーは十分に機能を果たしていない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成11~12,16~17年度の基盤研究(C)にて申請者らが構築した「新規象牙質セルフエッチングプライマー」は築造用コンポジットレジン(クリアフィルDSコアペースト)を用いた場合であり,ボンディング材(クリアフィルフォトボンド)を併用したものである。しかし,本研究課題はセラミック系歯冠補綴物を支台歯に装着する場合の「接着耐久性に優れた象牙質-接着性レジンセメント-セラミックの接着システムの構築」であり,セラミック系歯冠補綴物の支台歯への装着を考慮したものであることから,歯冠補綴物の適合性も重要である。しかし,ボンディング材の併用,特に光重合タイプのボンディング材は歯冠補綴物の適合性を損なう恐れがあることから,ボンディング材を併用しない場合のGlyおよびGluの効果を7種類の市販接着性レジンセントを用いて検討した。その結果は「研究実績の概要」に記載した通りであった。 「新規セルフエッチングプライマーを用いた象牙質に対するレジンの接着システム」では,象牙質をGlyにて30秒間処理後,ボンディング材としてクリアフィルボンドを塗布した場合における象牙質と築造用コンポジットレジンとの初期接着強さは,歯冠部象牙質で15.3MPa,歯根象牙質で15.0MPaであったが,この結果と比較すると,ボンディング材を併用せずにレジンセメントを接着させた上記の結果は非常に低い接着強さであった。 そこで,本課題の「接着耐久性に優れた象牙質-接着性レジンセメント-セラミックの接着システムの構築」を遂行するためには,化学重合型のボンディン材の併用や,新たに,セラミック系歯冠補綴物を考慮した「象牙質-接着性レジンセメントの接着システム」を開発する必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
市販接着性レジンセメントの中で最も高い接着性を示したレジンセメントはリンクマックスであり,付属のセルフエッチィングプラーマーは2液性(化学重合型)であることから,化学重合型の象牙質プライマーを今後開発する。 具体的には,Li Junの論文(Li J, Shibuya I, Teshima I, Nemoto K, Nishiyama N 2009 Development of dual-curing type experimental composite resin cement for orthodontic bonding—effect of amount of addition accelerators on the mechanical properties. Dental Material Journal 28: 401–408)を参考に4-MET,p-トルエンスルフィン酸ナトリウム,トリルジエタノールアミンの3者を用いた化学重合型ボンディング材およびセルフエッチングプライマーを調整し,打開策を模索する。 その後,当初の予定通り,本研究課題である「接着耐久性の優れた象牙質-接着性レジンセメント-セラミックの接着システムの構築」を行う。すなわち,新規に開発する象牙質プライマーシステムと新規セラミックプライマーを用いた場合の,「接着性レジンセメントの厚さが接着耐久性に及ぼす影響」,ならびに,「セラミックの厚さおよび光照射時間が接着性および接着耐久性に及ぼす影響」を検討するため,重合様式の異なる数種類の接着性レジンセントの厚さを100μmまたは300μmとして,接着性ならびに接着耐久性の評価を行い,同時に,接着性レジンセメントの厚さを100μmとし,セラミック板の厚さを1mmまたは2mmとした場合の接着性および接着耐久性を評価し,本研究課題を遂行する。
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