2013 Fiscal Year Research-status Report
インプラントオーバーデンチャー用緩圧型磁性アタッチメントに関する研究
Project/Area Number |
25463038
|
Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
長田 知子 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (70460178)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 力廣 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10223760)
小久保 裕司 鶴見大学, 歯学部, 教授 (20225410)
鈴木 恭典 鶴見大学, 歯学部, 講師 (70257335)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | インプラント / アタッチメント / マグネット / インプラントオーバーデンチャー / CAD/CAM |
Research Abstract |
緩圧性磁性アタッチメントはマグネットの持つ水平応力へのスライディングエフェクトとスプリングによる垂直応力の緩圧効果を兼ね備えることで,インプラントにかかる応力を減少させることが可能となり,インプラント生存率の向上が予想される.また,骨量の不足している部位への骨造成を伴わないショートインプラント,ミニインプラントを用いたインプラントオーバーデンチャーの適応を可能にすると推察される.アタッチメントの基本構造はインナーハウジングとアウターハウジングから成りチタン合金をミリング加工して製作する.緩圧機構はハウジング部がスライドすることにより可動性を持たせ, インナーハウジングとアウターハウジングの間隙にスプリングを挿入することで緩圧性を持たせる. 本年度は, スライドすることにより可動性を持つインナーハウジングとアウターハウジングをCAD/CAMシステムにて設計し,チタン合金をミリング加工し作成した.垂直的緩圧効果を発揮するスプリングはインコネルX750(板厚0.3x外径φ5x内径φ2.1x高さ0.40cm)を用いて試作した. 試作品の被圧変位量の測定は,微小変位量計DT‐A30を組み込んだ定荷重圧縮試験機を用い,5㎏のロードセルを介し,ひずみゲージからの出力電圧をダイナミックデータ集録ソフト (DCS-100A)で解析後,パーソナルコンピュータ (DICOM server:PD-Vl-GW TYPE-H)にて演算処理を行った.アタッチメントの被圧変位量を測定した結果,被圧変位量は0.25mmを示し,咬合圧に対して十分な緩圧効果を期待できると考えられる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はアタッチメントのインナーハウジングとアウターハウジングをCAD/CAMシステムにて設計し,チタン合金をミリング加工し試作を行った.ハウジングとキーパーの間隙にはスプリング(インコネルX750)を挿入し被圧変位量を規定した.試作したアタッチメント被圧変位量は0.25mmを示し,顎堤粘膜の被圧変位量と近似した値になっており、咬合圧に対して十分な緩圧効果を期待できると考えられる.現在,試作したアタッチメントはデンチャースペースが少ない症例では使用ができないため,今後さらにスプリングの小型化を図り,多くの症例に使用できるアタッチメントの製作を進めていく予定である.本年度の計画では試作品の完成までの予定であったので,おおむね順調な進捗であると考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は試作した緩圧性アタッチメントの被圧変位補正能は0.25mmであったが,患者の顎堤粘膜の被圧変位量は約0.3~0.7mmと多様性に富んでおり,個々の患者の顎堤の変位性や咬合力などを考えるとスプリングの被圧変位補正能,耐久性などに関して今後の検討が必要となる.また,現在,試作したアタッチメントはデンチャースペースが少ない症例では使用ができないため,今後さらに被圧変位補正能,耐久性を担保しつつスプリングの小型化を図り,多くの症例に使用できるアタッチメントの製作を進めていく予定である. また,試作された緩圧性磁性アタッチメントの理工学的特性を検討するため,インプラントオーバーデンチャー用アタッチメント(ボールアタッチメント,ロケーターアタッチメント,マグネットアタッチメント)の維持力,被圧変位補正量,疲労試験と比較検討を行う.
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本アタッチメントはインナーハウジングとアウターハウジング間の可動性を持たせつつ,唾液のシリンダー内への侵入をできるだけ防ぐことを考えたため,非常に精密な加工が必須となった.そのため,製作するCAD/CAMシステムや,基材となるチタニウムの切削に用いる切削用バーの選定に時間を要した.また,製作機材や材料の理工学的性質等の制約から各寸法の再検討を要したため,アタッチメント試作の時期のずれ込みが生じた結果,次年度使用額が生じることとなった. また,試作アタッチメントの検討において,試料片の製作を行う予定でいたが,アタッチメントの試作のずれ込みにより,試験片を製作できていないことから,試料片製作材料であるインプラントやアタッチメント代の繰越が起こっている. 第一にアタッチメント試作にかかった経費の支払いを行う. その後,アタッチメントの被圧変位補正能,耐久性,サイズの改良を行うための経費として用いる.また,製作したアタッチメントの評価の為に10万回の繰り返し荷重試験を行い,微小変位量計DT‐A30を組み込んだ定荷重圧縮試験機を用い, 被圧変位量の変化を観察を行う. 5㎏のロードセルを介し,ひずみゲージからの出力電圧をダイナミツクデータ集録ソフト (DCS-100A)で解析後,パーソナルコンピュータにて演算処理し,アタッチメントの被圧変位量を測定するダイナミツクデータ集録ソフトが必須である.また,試験片製作に消耗品として,アクリルブロック,即時重合レジン,アクリルブロック埋入用インプラント,各種アタッチメントが必要となるため経費として計上する.
|