2014 Fiscal Year Research-status Report
インプラントオーバーデンチャー用緩圧型磁性アタッチメントに関する研究
Project/Area Number |
25463038
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
長田 知子 鶴見大学, 歯学部, 非常勤講師 (70460178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 力廣 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10223760)
小久保 裕司 鶴見大学, 歯学部, 学内教授 (20225410)
鈴木 恭典 鶴見大学, 歯学部, 講師 (70257335)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | インプラント / アタッチメント / マグネット / インプラントオーバーデンチャー / CAD/CAM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において開発を行っている緩圧性マグネットアタッチメント(以下SBMアタッチメント)は,インナーハウジングとアウターハウジングをチタン合金からミリングすることにより製作されている.ハウジング部がスライドすることにより可動性を持ち, インナーハウジングとアウターハウジング間の間隙にスプリングを挿入することで緩圧性を持たせている.インプラントへの側方力や,咬合力を顎堤粘膜とインプラントに適正に配分することが可能で,インプラントオーバーデンチャー装着後の長期にわたる良好な経過が期待できる. 昨年度においては,研究の基幹となる試作型SBMアタッチメント1号の設計,製作を行った.本年度は試作したアタッチメントを用い,繰り返し荷重後の維持力,被圧変位量について実験的検討を行った.その結果,被圧変位量は顎堤粘膜の被圧変位量と近似し,咬合圧がかかった際に十分な緩圧効果を得ることができることが確認された.繰り返し試験の結果からも,耐久性に関しても十分であると確認された.この結果は第24回日本磁気歯科学会にて口演発表,平成26年度日本補綴歯科学会西関東支部学術大会にて,ポスター発表という形で報告を行った.また,試作1号のサイズが大きく,デンチャースペースの少ない症例では使用が難しいという問題点があったため,その点を改良した試作2号の設計,製作を行い,再度同様の検討を行ったが,試作1号と比較しても遜色のない結果となった.この検討に関しては第45回日本口腔インプラント学会での報告を予定している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は試作したアタッチメントを用い,繰り返し荷重後の維持力,被圧変位量について実験的検討を行った.繰り返し荷重試験は繰り返し荷重試験機(JM100-T;日本メック,東京)を用いて5 kgf 0.8秒/回サイクルで5万回行い,各アタッチメントの維持力と被圧変位補正量の測定は繰り返し荷重10,000回毎に行った.被圧変位補正量は微小変位量計(DT-A30;共和電業社,東京)を組み込んだ定荷重圧縮試験機(東洋精機製作所,東京)を用い,5 kgf荷重時の被圧変位量を測定した.維持力の測定は,小型卓上試験機(EZ-S-200N;島津製作所,神奈川)に装着し、クロスヘッドスピード5 mm/minにて引張試験を行った.分離時に要した最大荷重量と規定し,15回の計測の平均を維持力とした. 得られたデータは分散分析後,Tukeyの多重比較検定により有意水準5%で統計解析を行った.その結果,被圧変位量は530μmと顎堤粘膜の被圧変位量と近似し,咬合圧がかかった際に十分な緩圧効果を得ることができることが確認された.維持力については2~3Nであり,他の市販の磁性アタッチメントに比較し,劣らないものであった.繰り返し試験の結果からも,耐久性に関して十分であると確認された.また,試作1号のサイズが大きく,デンチャースペースの少ない症例では使用が難しいという問題点を改良した試作2号の設計,製作を行い,再度同様の検討を行ったが,試作1号と比較しても遜色のない結果となった.この計画ではシミュレーション解析までの予定であったことから,おおむね順調な進捗であると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は試作型SBMアタッチメント2号を用い,実験を継続する.下顎無歯顎患者を想定し,顎堤部を単純化したシミュレーション模型を製作後,左右側第一小臼歯,大臼歯部の顎堤頂に超小型圧力センサーを設置し,欠損部にインプラントを植立,1本から4本支台のものまでシミュレーション試験を行う.実験の比較対象としてはボールアタッチメント,ロケーターアタッチメント,マグネットアタッチメントを用いる. 実験義歯はインプラント支台オーバーデンチャーを設計したコバルトクロム金属床義歯を製作する.インプラント頸部には4枚のひずみゲージを貼付し3次元的にインプラントに加わる側方力を測定する.変位量計を組み込んだ定荷重圧縮試験器にシミュレーション模型を設置し,実験義歯に5kgまでの荷重を加える.各センサー,ひずみゲージからの出力電圧をダイナミックデータ集録ソフトで解析後,パーソナルコンピュータにて演算処理し,荷重時のインプラントのひずみ,顎堤粘膜の負担圧と義歯の変位量を同時測定する.
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Causes of Carryover |
本アタッチメントはハウジング部がスライドすることにより可動性を持ち, インナーハウジングとアウターハウジング間の間隙にスプリングを挿入することで緩圧性を持たせる.全体的なサイズダウンを図った試作型アタッチメント2号の製作に当たり,スプリングの再選定を行い,スプリング形状の変更を行った.その結果,加工に要する金額に変更が生じた結果,繰越金が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後は下顎無歯顎患者を想定し,顎堤部を単純化したシミュレーション模型を製作後,左右側第一小臼歯,大臼歯部の顎堤頂に超小型圧力センサーを設置し,欠損部にインプラントを植立,1本から4本支台のものまでシミュレーション試験を行う. この際にインプラントにはひずみゲージを貼付し,3次元的にインプラントに加わる側方力を測定し,荷重時のインプラントのひずみ,顎堤粘膜の負担圧と義歯の変位量を同時測定する. この際にひずみゲージを小型化し,増量することで出力されるデータ量を増加させられ,より詳細な実験結果が得られることから,その差額に使用するため,経費として計上するものである.
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