2014 Fiscal Year Research-status Report
成長因子と矯正力によるバイオメカノエンジニアリングで切り拓く歯周再生療法の新展開
Project/Area Number |
25463052
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
白方 良典 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (60359982)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂東 健二郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50347093)
山本 芳丈 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50380465)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯周組織再生療法 / 成長因子 / エナメルマトリックスプロテイン / ティッシュエンジニアリング / 矯正治療 / メカニカルストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、重度歯周炎により失われた歯周組織を再生すべく様々な歯周組織再生療法が試みられている。しかし、多くの歯周炎患者において歯周組織の破壊のみでなく、病的な歯の移動が既に認められる。こうした状況下での歯周組織再生療法の適応とその効果は不明で、歯の整列を目的にメカニカルストレス(MS)を利用する矯正治療も困難と考えられている。しかし、適切なMSは骨芽細胞の分化や骨形成を促進することが報告されている。申請者はこれまで各種成長因子やエナメル蛋白(EMD)を選択的に歯周組織欠損へ応用することで良好な歯周組織再生が得られることを報告してきた。そこで、本研究ではEMDと矯正力(MS)の利点を考慮し、選択的に利用するいわばバイオメカノエンジニアリングの概念のもと、新たな歯周組織再生のアプローチを開拓し、さらに学術的エビデンスを構築することを目的とした。実験モデルの開発を主眼にin vivoでビーグル雄成犬(3匹)の両側下顎第2、第3前臼歯の各々、近心および遠心側の1壁性骨欠損へMSを用いて歯体移動モデルを考案・作製した。MSの欠損形態に対する影響、および自家骨移植術後のMSによる治癒効果を検証した。欠損側へのMSの応用はやや歯の傾斜を伴うものの、既存骨の吸収を促進することはなく歯の移動を可能であることが示唆された。なお組織学的評価において自家骨移植を用いない場合、既存骨の吸収が進行する一方、自家骨移植術により既存骨の吸収は抑制され新生骨形成が認められた。さらに欠損部への自家骨移植後、早期にMSを付与することで歯根膜線維および歯槽骨密度が亢進することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は過去に報告のない実験デザイン、概念の確立と提唱を目的としているが、研究経費の観点から予備実験を含めた実験規模が当初の計画より縮小しており至適条件の模索に時間を要している。なお試験期間中の早期にMS付与を目的とした矯正装置の脱落例があり、EMDの効果を検証する前に追加試験が余儀なくされている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験デザインはおよそ確立したため、今年度の結果を前提に自家骨移植とEMDを併用した欠損部位へのMSの応用を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
物品費に計上していた消耗品が当初の実験計画より縮小したため、少額残存した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度(最終年度)に基金・継続として総括的研究における物品費として補填使用する。
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Research Products
(8 results)