2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25463056
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
佐藤 秀一 日本大学, 歯学部, 准教授 (50225942)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血管新生 / 骨増生 / 垂直方向 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は骨再生が困難と考えられている,垂直方向への骨再生を効果的に行うために,そのしくみを解明し,さらに,細胞や超音波刺激などを用いてその効果的な再生法を検討することである。これまで,ラットの頭頂骨に円柱形のプラスチックキャップを設置した垂直性骨欠損モデルを用いてマイクロCTおよび組織学的観察によって,垂直方向への骨再生時に起こる血管新生の動態を解明することを試みてきた。ここでは,はじめに血管新生を誘導させるために最も重要と考えられる自己幹細胞を誘導するために,以前,われわれの研究グループで用いた骨髄穿通孔の形態および大きさを変化(大きな孔を1つ形成する1S群,7つの小さな孔を形成する7M群)させることによって,2週後と4週後の血管新生の動態をマイクロCTおよび組織学的に観察した。さらに,詳細に血管新生の動態を肉眼的に観察するために,全組織標本による観察も遂行中である。 これまで得られた結果から,血管新生は骨髄穿通部から起こり,垂直方向に広がっていく様相が観察された。とくに,1S群の方が7M群より血管新生は早期(2週)に起こることがわかった。さらに,マイクロCTにより新生血管量を定量したところ,1S群の方が7M群よりも血管新生量も大きくなることがわかった。しかし,4週目になると両群の新生血管量に有意差が認められなくなった。これらの結果は,組織学的観察によっても確認した。しかし,再生骨の石灰化が進行するとマイクロCTによる新生血管の観察は再生骨との区別が難しく,困難であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラット垂直性骨欠損モデルを用いてマイクロCTによる微細な新生血管の観察が当初の予想したものよりも困難であったため実験の進行がやや遅れていた。これに対しては,造影剤の注入速度や注入方法を変えることによって対処した。それらの工夫によって現在は垂直性骨欠損に対するマイクロCTによる新生血管の観察が可能となりデータを採取している。さらに,血管にプラスチック樹脂を注入する全組織標本の作製を行い,新生血管の観察の精度をさらに向上させている。
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Strategy for Future Research Activity |
ラット垂直性骨欠損モデルの血管新生の動態を解明するために,マイクロCTによる新生血管の観察を行ったきたが計画当初予測したものより手技が困難であったため,骨再生時に生じる新生血管にはかなり微細なものが発現するために,その観察に限界がみられた。そこで,プラスチック樹脂を注入した全組織標本による新生血管の観察標本の作製に着手している。さらに,当初の実験計画に従い,血管誘導因子や細胞などを加えることによって,新生血管の誘導をさらに促進刺させることによって血管誘導によって垂直方向への骨再生の調整法を検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
ラット垂直性骨欠損モデルを用いてマイクロCTによる微細な新生血管の観察が当初の予想したものよりも困難であったため実験の進行がやや遅れていた。このため,前年度の使用する予定であった経費に残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験計画の遅れを修正するための,実験手技が確立できたので,当初予定していた予算を遂行する予定である。具体的には造影剤などの薬品類を購入する予定である。
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Research Products
(8 results)