2014 Fiscal Year Research-status Report
光機能化処理によるインプラント周囲骨形成促進の試み。ー微小循環からのアプローチー
Project/Area Number |
25463058
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
松尾 雅斗 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (30190416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 憲幸 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (20339782)
高橋 俊介 神奈川歯科大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (60206810)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | SEM / インプラント / 表面構造 / オッセオインテグレーション / 光機能化 / 微小循環 / 血管鋳型法 / 歯周組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
[目的]近年,光機能化処理によるインプラント表面性状の改良が注目されている。本法は紫外線を照射によりチタン表面の親水性を増すことにより、インプラント体表面に血管や骨芽細胞を積極的に誘導しオッセオインテグレーションを速やかに獲得する事が可能とされる。本研究では、光機能化処理が実験的インプラント周囲炎の防御機構に影響するか形態学的な視点から検討を行なった。 [方法]実験動物にはビーグル犬4頭を用い、全身麻酔下において,下顎左右前臼歯部を抜去し、歯槽骨頂縁を平坦に整形した。第二前臼歯の遠心歯槽窩と第四前臼歯の近心歯槽窩内に純チタンスクリュー型インプラント(直径3.3mm,長さ8mm,表面性状SLA)を即時埋入した。片側のインプラント体には光機能化処理を行い、他方は対照群とした。実験は血管鋳型標本を作製し、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察を行った。 [結果および考察]術後14日、対照群では骨-インプラント界面には血管が新生し、インプラント体に沿った周囲骨は多孔性の幼若骨であった。未だオッセオインテグレーションは充分に獲得されていない状態であった。それに対してUV群では新生血管を覆うインプラント周囲骨が観察された。術後30日、UV群では骨の石灰化が進み一定の厚さを持つ緻密な骨となっていた。対照群では周囲骨の石灰化は進んでいるがUV群に比較すると粗造な骨形成を示していた。術後60日、両群ともほぼオッセオインテグレーションは達成されていた。骨梁の構造はUV群において骨梁の幅、配列とも明確に再生していることが観察された。 [結論]以上の結果より紫外線を用いた光機能化処理により、インプラント周囲には血管新生とそれに伴う骨形成がより明確に生じることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、第一次の実験は終了し試料作製を終えた。その結果について記載する。 人工的規格骨欠損を形成し光機能化処理インプラントを埋入し、その後の周囲血管新生と骨形成を比較観察した。抜歯窩など欠損内には創傷治癒により血餅が形成された後、密な血管新生が生じた。そのスペースに骨芽細胞が浸潤し骨添加が生じたことより多くの骨量と高さを得られることが期待される。 外科手術は松尾雅斗(研究代表者)が行い、ビーグル犬の左右下顎第2、第3、第4前臼歯を抜去した歯槽窩に光機能化処理インプラントと未照射インプラントを各2本ずつ埋入する。インプラント体光機能化処理は星憲幸(研究分担者)が担当し、光機能化処理装置で紫外線(UVA,UVB,UVC混合)を15分照射する。インプラント体はチタンスクリュー型でSLA表面処理されたもの(長さ8mm、直径3.3mm)を用いた。マイクロCT撮影および血管樹脂注入、電顕試料作製・撮影(研究代表者:松尾雅斗)を行いデータ解析、データ保存管理をデジタル保存し、詳細な解析を行った。各分野専門家との綿密な研究打ち合わせを行いデータを基に学会発表を国内・海外で発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
[光機能化処理によるペリインプランタイティス防御を解析する] 実験的ペリインプランタイティスを惹起させ、光機能化処理インプラント周囲の炎症防御について比較する。インプラントは天然歯と異なり付着上皮が欠如するため炎症防御が劣りペリインプランタイティスに罹患しやすいと言われている。抗炎症性をもつ光機能化処理インプラントは特に歯肉微小循環に変化が大きいことが予想される。そのためこの実験系では特に血流計測に重点を置く。外科手術は松尾雅斗(研究代表者)が行い、左右下顎第2、第3、第4前臼歯を抜去後90日間歯周組織が再生するのを待ち、星憲幸(研究分担者)が光機能化処理インプラント処理を行う。また反対側に未照射インプラントを各2本ずつ埋入する。さらに90日間、オッセオインテグレーションを確認した後、インプラント体頚部にデンタルフロスを設置すると、90日後実験的ペリインプランタイティスを惹起する。過去の研究報告でも示したが、この方法でほぼ均一の再現性のある炎症像を得ることが出来る。インプラント埋入前後のLDF血流計測を高橋俊介(研究分担者)が行い、データ解析、データ保存管理をデジタル保存し、詳細な解析を行う。マイクロCT撮影および血管樹脂注入、電顕試料作製・撮影(研究代表者:松尾雅斗)を行いデータ解析、データ保存管理をデジタル保存し、詳細な解析を行う。各分野専門家との綿密な研究打ち合わせを行いデータを基に学会発表を行いたいと考えている。
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Causes of Carryover |
平成26年度中に、英文論文校閲ならびに投稿料が必要と考えていた。しかし3月のIADRにおける海外発表で各専門分野の先生より有用な意見を頂いたため、それを基に平成27年度に論文の修正、投稿をすることとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度、論文として英文の校閲ならびに投稿を行う予定である。すでに草稿は執筆済みである。
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Research Products
(4 results)