2013 Fiscal Year Research-status Report
交感神経活動が咀嚼筋の痛み、分化、機能および神経線維分布に与える影響
Project/Area Number |
25463065
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 淳 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 講師 (60319069)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 善政 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (00224957)
山崎 裕 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (90250464)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 咀嚼筋 / 交感神経 / ウサギ / 口腔額顔面痛 |
Research Abstract |
1.顎関節構造および筋線維構成がヒトと類似した成長期のウサギを用い、交感神経切除が咬筋および内側翼突筋・外側翼突筋などの組織化学的および形態学的特徴に及ぼす影響について検討した。生後3週齢(離乳期)のウサギの片側の交感神経を切除して、6か月後に咀嚼筋を病理組織学的に検討した。10匹のウサギを用いて交感神経切除群:6例、交感神経切除を行わないコントロ-ル群:4例とした。交感神経刺激群としての寒冷曝露については条件設定が十分できず保留となった。初めに咬筋を採取して浅層と深層に分けて凍結連続切片を作製した。ATPase, NADH-TR染色により、筋線維をタイプ1,2A,2B,2Cに分類、各筋のタイプ1面積率、タイプ別構成比率、筋線維直径を測定した。咬筋浅層、深層とも交感神経群とコントロ-ル群のタイプ1線維が占める面積率に有意差は認めなかった。咬筋浅層では交感神経切除群でタイプ1線維数がコントロ-ル群と比較して有意に減少していた。交感神経切除群とコントロ-ル群の各筋線維の長径に有意差は認めなかった。また切除群でNADH-TRの活性低下が観察された。 2.顎顔面疼痛患者の研究:慢性の顎顔面疼痛を有する患者のうち非定型歯痛と診断された22例に関して臨床的研究を行った。交感神経ブロックに類似した効果を有するといわれる頸部の星状神経節に対するソフトレ-ザ-照射を複数回行ったが疼痛軽減の有意な結果は認められなかった。これらの患者に対しては、抗うつ剤や抗不安薬などの薬物療が最終的には効果が認めらることがわかった。また健常ボランティア6例に対して寒冷刺激前後と頸部星状神経節ソフトレ-ザ-照射前後の咀嚼筋圧痛の程度を比較した。寒冷刺激群では圧痛閾値が低下していた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ウサギを使用した動物実験については、予想通りの結果を得られていると考えている。今年度は交感神経切除群の筋線維の変化について咀嚼筋のうち、咬筋について検討した。平成26年7月の学会で発表予定である。今後は内側翼突筋、外側翼突筋の検討についても行いと考えている。 臨床的研究においては、顎顔面疼痛患者の症例数の増加が予定通りに増やせない傾向がある。研究の内容・意義を理解していただき、インフォ-ムド・コンセントを得ることが容易ではなかった。特に慢性疼痛患者さんは薬物療法が必要になり併用していることにより、星状神経節ブロック、ソフトレ-ザ-照射の効果の判定が予想以上に困難であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
ウサギを使用した動物実験については前述の如く今後は内側翼突筋、外側翼突筋の検討についても行いと考えている。興味ある結果が期待できる。また、交感神経刺激群としての寒冷刺激、抗コリン薬投与群の動物実験も方法をさらに吟味して追加したいと考えている、 臨床的研究においては、まずは健常ボランティアにおける寒冷刺激、交感神経ブロック常置亜での咀嚼筋疼痛閾値の変化についてきちんとした結果を出すことが第一と考えている。その結果をふまえて、慢性顎顔面疼痛患者さんにその結果を説明して研究への参加を募るようにしたいと考えている、 研究の推進のために、さらにエフォ-トを上げて、時間をかけて症例を集積する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年間を通して研究に必要な経費を計画的に使用しようと考えていたが、年度末になり27627円の残額が生じた。不必要な消耗品を購入するよりは次年度の研究費に繰り越して、有用に使用した方が適当と考えて、次年度使用とした。 27627円についてはもともとの平成26年度の研究計画にプラスして使用する予定である。
|