2015 Fiscal Year Research-status Report
口腔がん多段階発がん過程におけるスフィンゴシン-1-リン酸シグナル調節機構の解明
Project/Area Number |
25463069
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安部 貴大 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20383250)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 雅修 東京大学, 保健・健康推進本部, 講師 (10392333)
小笠原 徹 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (20359623)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | S1P / 口腔癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
スフィンゴ脂質の代謝産物であるスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)は悪性腫瘍、動脈硬化や糖尿病、骨粗鬆症などの病態進行を調節する重要な因子として認知されてきた。S1Pは様々な細胞から分泌され、5つの特異的なGタンパク質共役型受容体(S1PR1-S1PR5)を介するシグナル伝達因子としてオートクライン、パラクラインに作用している。口腔がん由来細胞におけるS1Pシグナル伝達機構は今もなお十分に解析が進んでいない。本研究では、がん細胞の活性化において重要な役割を果たしているS1Pの作用に着目し、研究計画が進められた。これまでの頭頸部がんのスフィンゴ脂質に関する報告は、野田らがpan-SphK阻害剤であるSafingolを用いた実験で、口腔扁平上皮癌由来細胞が脱接着性に細胞死を誘導するとの報告や(Noda T, et al. Apoptosis 2009)、がんの進行ならびに生存率の低下とSphK1の高発現、活性化との相関を示す報告(Facchinetti MM, et al. Cells Tissues Organs 2010; Liu G, et al. BMC Cancer 2010; Shirai K, et al. Cancer Prev Res. 2011)、SphK1の活性化が放射線抵抗性を示すとする報告(Sinba UK, et al. Head Neck. 2011)などの知見が得られている。本研究では口腔がんにおける多段階発がんのスフィンゴ脂質代謝に関する研究と位置づけ、口腔がん由来の細胞を用いて、これら代謝酵素によるタンパク質修飾について検討を加え、S1P-S1PRシグナルにおける伝達や作用を中心に研究を展開している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
S1Pの活性化が細胞株によってバラツキがあり、再現性を得るのに苦慮している。レセプターの発現にも多様性があることが予想され、実験系の確立にも時間を要している。文献的な情報も参考にしながら、関連因子についても視野を広げ、新たな発見に繋げていきたい所存である。
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Strategy for Future Research Activity |
文献などの情報から最新の知見を得ながら、研究の遂行に努める所存である。培養実験でのS1Pシグナルの機能を、既知の因子を中心に選択肢を広げて可及的に解析を進める。必ずしもS1PRの発現にとらわれず、遊走や浸潤に関連すると思われる受容体などにもターゲットを広げて活性化の有無を検討してみる。ヒト検体での関連因子についても発現検討を試みる。新規の知見を得られるよう、研究を推進していく所存である。
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Causes of Carryover |
培養細胞の発現検討の実験において、細胞間の多様性が予想外に大きく、受容体の発現、S1Pの反応性についての検討に苦慮している。新たな試薬の購入にも慎重をきしていたが、研究遂行を継続することを希望し、延長の申請を嘆願させていただいた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学内倫理委員会への申請により、ヒトサンプルの採取が行えている。ヒト検体での解析とともに、関連因子にも視野を広げて培養実験でのシグナル解析をさらに遂行していく所存である。これに関連する抗体、培養実験試薬などに充当する予定です。
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Research Products
(6 results)