2014 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞の最小限の分化誘導による再生骨の作製とブタ顎骨欠損モデルへの応用
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25463071
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西澤 悟 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00646200)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 和人 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (30344451)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 再生医療 / 骨再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々が目指している再生骨を作製するためには、腫瘍の原因となる未分化細胞を含まない、中胚葉系細胞が必要である。また、iPS細胞は細胞株により細胞特性が異なることが知られているため本検討に用いるiPS細胞は中胚葉に向かう分化特性が高いことが望ましい。H25年度に我々が樹立したミニブタiPS細胞は、マウスiPS細胞に比べ中胚葉系への分化効率が低い細胞だった。このiPS細胞は、樹立時に用いた山中因子がサイレンシングされていなかったことから、リプログラミングが不完全な状態である可能性が推察された。そこでリプログラミング阻害因子として知られているMbd3遺伝子をsiRNAで抑制した条件でミニブタiPS細胞の樹立をおこなった。Mbd3遺伝子抑制下では作製効率が30倍以上増加した。さらにiPS細胞の分化特性も向上した。次にミニブタiPS細胞の培養法の検討をおこなった。先行報告ではヒトES/iPS細胞の培養で用いられるFGF添加培地あるいはマウスES/iPS細胞の培養で用いられるLIF添加培地のどちらか又は混和してブタiPS細胞は培養されている。そこで培養液による影響を検討した。FGF添加培地はミニブタiPS細胞の未分化性の維持に適しており、LIF添加培地は反対に分化特性を向上させる傾向があることを確認した。次にiPS細胞を中胚葉系細胞へ高効率に分化誘導可能な培養法の検討をおこなった。ヒトiPS細胞を間葉系細胞に99%以上の高効率で分化誘導可能な培養法として報告されている小分子化合物SB431542を用いた分化誘導法を用いるとミニブタiPS細胞を中胚葉系に効率よく分化誘導することが可能なことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大動物(ミニブタ)を使ったiPS細胞による顎骨再建の検討に必要なミニブタiPS細胞が樹立できた。そして高効率な中胚葉系細胞への分化誘導方法の検討もおおむね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はこれまでの検討で確立した分化誘導法を用いてミニブタiPS細胞を中胚葉系細胞に分化誘導し、細胞濃度(1x108、1x107、1x106 cells/mL)で、φ10 mm x2 mmの多孔質beta-TCPに投与し、投与細胞濃度の異なる3種の培養骨を作製する。beta-TCPのみを移植した群、および無処置群をコントロールとする。クラウン系ミニブタ(6ヶ月齢雄、n=8)の頭蓋骨にφ10 mmの全層骨欠損を1匹につき2ヶ所作製し、3種の再生骨を欠損部に移植する。術後2カ月間奇形腫形成を観察し、安楽死後、マイクロCT撮影および組織学的評価を行う。組織染色はHE 染色、ALP 染色などを行い、マイクロCT所見とあわて骨再生を評価し、再生骨の作製に用いる細胞濃度を設定する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、平成25年度にミニブタiPS細胞由来の中胚葉系細胞分化誘導を確立し、平成26年度に頭蓋骨欠損ヌードラットに移植予定であった。しかしミニブタiPS細胞の分化能がヒトおよびマウスiPS細胞に比べて低いことが確認され、分化誘導法の最適化に時間を要したため平成26年度に購入予定だったヌードラットの購入数が減少した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度はiPS細胞由来再生骨の最適な作製条件を検討する。これまでの検討で確立した分化誘導法を使ってiPS細胞から中胚葉系細胞を誘導し、細胞濃度(1x108、1x107、1x106 cells/mL)で、φ10 mm x2 mmの多孔質beta-TCPに投与し、投与細胞濃度の異なる3種の培養骨を作製する。beta-TCPのみを移植した群、および無処置群をコントロールとする。クラウン系ミニブタ(6ヶ月齢雄、n=8)の頭蓋骨にφ10 mmの全層骨欠損を1匹につき2ヶ所作製し、3種の再生骨を欠損部に移植する。術後2カ月間奇形腫形成を観察し、安楽死後、マイクロCT撮影および組織学的評価を行う。組織染色はHE 染色、ALP 染色などを行い、マイクロCT所見とあわて骨再生を評価し、再生骨の作製に用いる細胞濃度を設定する。
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Research Products
(2 results)