2014 Fiscal Year Research-status Report
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25463099
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
近藤 壽郎 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70178416)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小倉 直美 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (10152448)
伊藤 耕 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (20419758)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 顎関節滑膜細胞 / 顎関節内障 / interleukin-17 / interleukin-6 / CCL20 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は,顎関節の炎症亢進についての分子プロセスについての検討を行うこととした.培養ヒト顎関節滑膜細胞(滑膜細胞)にinterleukin (IL)-1β刺激を加えた時,最も発現が上昇した遺伝子はケモカインのCCL20であった.CCL20はT cellのサブセットであるTh17を遊走させことが報告された.Th17やTh17が産生するIL-17は関節リウマチの病態形成に関与することが明らかとなっている.本年度は,IL-17の滑膜細胞への影響を検討した.【方法】本学倫理委員会の指針に従い,顎関節内障患者の滑膜から out growth法で滑膜細胞を得た.滑膜細胞にIL-17刺激を行い,total RNAをRNeasy Mini kitを用いて抽出した.遺伝子発現量は,DNA microarray解析およびreal time-PCR法で測定した.培養上清中のcytokine量は ELISA kitを用いて測定した.【結果および考察】滑膜細胞において,IL-17刺激によりIL-6, CCL20, CXCL1およびCXCL8等の遺伝子発現が上昇した.また,IL-17刺激により,IL-6タンパク質産生も経時的に上昇した.顎関節内障患者滑液中でIL-1βが上昇すると,IL-1β刺激をうけた滑膜細胞は CCL20産生を上昇させる. CCL20によってTh17が滑膜中に遊走し,IL-17を産生する.産生されたIL-17は滑膜細胞を刺激し,CCL20やIL-6産生がさらに上昇することにより,炎症の亢進するものと示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十数名の患者から顎関節滑膜組織を採取し,顎関節滑膜由来細胞(滑膜細胞)の分離・培養を行っており,実験に使用可能な滑膜細胞の例数は増えている.今年度は,滑膜細胞にIL-1βおよびTNF-α刺激の他にIL-17刺激を行った.IL-17で刺激した滑膜細胞では,IL-6等の炎症性因子の遺伝子発現やタンパク質産生が上昇することを確認している.また,IL-17刺激滑膜細胞について,マイクロアレイを用いて遺伝子発現量を測定し,網羅的な発現解析も順調に進んでいる.また,滑膜細胞におけるIL-17 シグナリングパスウェイ解析も行っている.さらに, IL-17刺激滑膜細胞にCOX阻害薬を投与した時の網羅的遺伝子発現解析も進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
顎関節滑膜炎では,滑膜細胞とマクロファージ等の免疫担当細胞間での相互作用も重要と考えられる.そこで,炎症性シグナル・クロストークおよび分子プロセスを明らかにする一環として,滑膜細胞とマクロファージの共培養系で遺伝子発現解析およびシグナリングパスウェイ解析を行う.さらに,滑膜細胞とマクロファージの共培養系に炎症性刺激を行うとともに,COX阻害薬であるインドメタシンやセレコキシブを投与してマイクロアレイ解析やシグナリングパスウェイ解析を行い,発現変動した遺伝子の分子間相互作用を調べる. 一方,滑膜細胞はPGE2刺激によってIL-6産生が上昇すること,滑膜細胞にはPGE2レセプターである EP2やEP4が発現していることを確認している.そこで,滑膜細胞にPGE2を作用させて炎症性因子の発現変動を調べるとともに,EP2, EP4を介したシグナル伝達経路を検討する. 以上の実験から,滑膜炎の分子プロセスを構築するとともに,病態関連因子を標的とした治療薬の検討を行う.
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Causes of Carryover |
予定額より安価で購入できたため残額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
real time-PCR等の遺伝子発現量の測定試薬の一部として使用する.
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Research Products
(8 results)