2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25463103
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
輿 圭一郎 鶴見大学, 歯学部, 臨床助手 (30635107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舘原 誠晃 鶴見大学, 歯学部, 助教 (90380089)
徳山 麗子 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20380090)
井出 信次 鶴見大学, 歯学部, 学部助手 (00611998)
里村 一人 鶴見大学, 歯学部, 教授 (80243715)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌 / 癌治療 / 光治療 |
Research Abstract |
本研究は、光線免疫療法による低侵襲な口腔癌治療の開発を目的にしている。本年度は、口腔癌細胞に対してWilms' Tumor 1(WT1)抗原の発現の有無について確認するために口腔癌患者からの検体より採取した癌組織を抗WT1抗体による免疫組織化学的手法を行った。その結果、口腔癌においてもWT1の発現を認めたが、細胞のタイプにより発現の少ないものも確認した。そこで、がん抗原として2番目に多く癌細胞に発現していると報告されているMUC1についても免疫組織化学的手法を用いて検討したところ、多くの口腔癌細胞に発現を認めた。さらに、ヒト口腔癌細胞株を用いて同様に免疫細胞染色を行い、発現の有無について確認した。 次に近赤外線に反応して殺細胞効果を示す化合物であるフロシアニンと抗WT1抗体との複合体(抗WT1抗体結合化合物)の作製を試みた。しかし、フロシアニンとの複合体の作製が上手くいかず、WT1を発現したヒト口腔癌細胞株に結合しなかった。今後の予定としては、再度、抗WT1抗体結合化合物の作製を行う予定である。また、口腔癌細胞においてもMUC1の発現を認めたことから、抗MUC1抗体結合化合物の作製も行う。さらに、ヒト口腔癌細胞株を用いて、in vitroでの殺細胞効果を確認する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度においては、光に反応して殺細胞効果を示すフロシアニンと抗WT1抗体との複合体の作製を試みた。しかし、この複合体とWT1発現のある口腔癌細胞株との結合が上手く行かなかった。複合体の作製方法に改良を加えながら研究を行ったため、多くの時間を費やしてしまった。しかし、口腔癌細胞株の培養等に関しては手技等安定しており、次年度でのin vitroの解析が効率良く行えると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
再度、抗WT1抗体とフロシアニンとの複合体の作製を行う。また、抗MUC1抗体との複合体の作製も行う予定である。次にWT1またはMUC1を高発現しているヒト口腔癌細胞株およびこれらがん抗原を発現していない口腔癌細胞株を培養し、培養液中に抗体結合化合物を添加して60分後に近赤外線を照射する。フロシアニンは短い波長の近赤外線を照射すると蛍光を発するため、これを利用して細胞表面に抗体結合化合物が結合していることを確認する。この際、これらのがん抗原を発現している口腔癌細胞のみに特異的に結合していることを併せて確認する。細胞形態の変化を持続的に観察することにより殺細胞効果を確認し、抗体結合化合物が細胞膜上に結合し近赤外線を照射してから、殺細胞効果が発現するまでの時間を計測する。さらに、抗WT1抗体結合化合物の至適投与濃度および至適照射条件を決定する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
抗WT1抗体とフロシアニンと複合体の作製が上手くいかず、研究は計画通りに進まなかったが、ヒト口腔癌細胞株でのがん抗原(WT1とMUC1)の発現を確認し、また、細胞培養条件を確立するために使用した。しかし、わずかであるが予定額に届かなかった。 次年度としては、抗WT1抗体および抗MUC1抗体とフロシアニンとの複合体を作製するために抗体とフロシアニン結合キットを購入する。また、ヒト口腔癌細胞株を用いて、抗体化合物と癌細胞の結合能を確認するため、細胞培養に必要な器具、培養薬品、また、細胞免疫染色に必要な薬品および抗体等を購入する予定である。また、これらの研究成果を国内外にて発表を行う予定であるためその旅費にも利用する。
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