2013 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌の発生・浸潤・転移メカニズムにおけるEBVと歯周病の関与
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25463118
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
菊池 建太郎 明海大学, 歯学部, 准教授 (30349998)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ヒト口腔扁平上皮癌 / Epstein-Barr virus (EBV) / 歯周病 |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌150症例のパラフィン切片からDNAを抽出し、PCR法にてEBV感染ゲノム(EBNA-2, LMP-1)の検出を行った。EBNA-2は150例中78例 (52.0%) 検出でき、LMP-1に関しては16例 (10.6%)検出された。比較対象とした上咽頭癌21例では、EBNA-2およびLMP-1発現はそれぞれ66.7%および33.3%で、口腔扁平上皮癌症例に比較して高い陽性率を示した。この結果からは、上咽頭癌症例に比べて口腔扁平上皮癌症例でのEBV感染ゲノム検出率は低値であるが、口腔癌においてもEBVゲノムの感染環境下にある症例が少なくないことが示された。さらに、EBER-ISH法での検索においては、発現強度に差はあるが実際の口腔扁平上皮癌細胞にEBERが陽性(90.67%)であることか確認された。これらのデータをもとにEBER 陽性の口腔扁平上皮癌症例(135例)に対して潜伏感染タイプ(Latency 型)を検討してみると、I型が44.4%(60例)、II型が5.9%(8例)、III型が5.9%(8例)、既存の分類に該当しない不明型(混合型)が43.7%(59例)であることが分かった。これらEBV感染(関連)口腔扁平上皮癌症例に関して、LMP-1タンパク発現を免疫染色により検討してみると、染色態度に差はあるものの癌細胞に陽性所見が確認された。さらに、歯周炎および扁桃炎組織に関してEBV感染ゲノムをPCR法により検出を試みたところ、扁桃炎ではEBNA-2 (0.0%)およびLMP-1(20.0%)の検出率が低いのに対して、歯周炎ではEBNA-2 (78.1%)およびLMP-1 (21.9%)の検出率が高い傾向にあることが示された。以上の結果より、口腔癌、EBV、および歯周病との3者間に関連性があるものと考えられ、さらに研究を推し進める必要性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
PCRに関して、DNAの良好な抽出およびPCRの反応条件の決定に予想外に時間がかかってしまった。 パラフィン切片からのDNA抽出であるため、培養細胞と比べてデータのばらつく時があり、再現性をみるのに予想外に時間を要した。 バイアスが生じないように臨床事項に関しては、実験データがある程度揃ってから検索および解析する予定であったので、実験の遅れに伴い臨床医との連携ならびにデータ収集時期も予想外に遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究目的を達成するための研究計画・方法に関しては大きな変更点はなく、当初の計画に沿って遂行していく予定である。 やや研究が遅れている部分に関しては、研究に費やす時間(エフォート%)をさらに増やせるように工夫する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度に予定した実験計画の全てを遂行することができなかったためであり、その原因としては予備実験(条件決め)や実験データの再現性をみるのに予想外に時間がかかってしまったことが最大の理由である。 平成26年度の実験計画に関しては、当初の予定に沿って遂行する予定である。 平成25年度内に遂行できなかった内容(次年度使用額)に関しても平成26年度の実験計画と平行して行う予定である。実験遂行にあたっては、常に実験時間を作る工夫と効率性を考えて進めていく予定である。
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