2014 Fiscal Year Research-status Report
歯科治療恐怖症患者における音楽鎮静の効果ー自律神経活動の面からの検討ー
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25463126
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤澤 俊明 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (30190028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新田 幸絵 北海道大学, 大学病院, 助教 (00463737)
下地 伸司 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30431373)
川浪 雅光 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 特任教授 (10133761)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 音楽鎮静 / 心拍変動解析 / 歯科治療恐怖症 / 静脈内鎮静法 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】歯科手術は,患者にとって,循環変動の源となる自律神経系の変化を引き起こす大きなストレッサーとなる.効果が確実な静脈内鎮静法は,術中のストレスを大幅に軽減するが,来院時から薬液投与までのストレスを軽減することはできない.そこで,我々は,患者来院時から手術室入室直前までの音楽鎮静の効果を,自律神経系の評価を可能にする心拍変動解析を用いて明らかにすることを目的に検討を行った. 【対象と方法】北海道大学病院歯科麻酔科外来で埋伏歯抜去術を静脈内鎮静法併用局所麻酔下に行う18歳以上の患者84名を対象とした.対象患者は事前アンケートにより恐怖層と非恐怖層に分けられ,その2層に対してそれぞれランダムに音楽群と非音楽群に細分した.音楽群では,来院時にベースライン値を測定した後から入室直前まで音楽を聴かせた.音楽介入による効果の指標としては,心拍変動解析による自律神経活動(LF/HF: 交感神経活動の指標,CCVHF: 副交感神経活動の指標),主観的緊張度を表すvisual analog scale(VAS),心拍数を用いた.各指標は各時点におけるベースライン値からの変化量により評価した. 【結果】①恐怖層:LF/HFおよびVASは,音楽介入後ならびに,入室直前の値が音楽群で非音楽群と比較して有意に低かった.CCVHF,心拍数は,両群に有意差はみられなかった.②非恐怖層:いずれの評価項目にも有意差は見られなかった. 【考察と結論】音楽鎮静は歯科治療恐怖症患者で,来院時から手術室入室直前までの緊張を有意に緩和した.また,音楽鎮静による緊張の緩和は交感神経活動が低下することにより起き,副交感神経活動は関与していないことが示唆された.以上,歯科治療恐怖症患者において,音楽鎮静が歯科外来手術室入室前の緊張緩和に有用であることを自律神経活動の面から証明し得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の歯科治療恐怖症のない患者の埋伏抜歯前の緊張に対する音楽鎮静の効果、および、平成26年度の歯科治療恐怖症のある患者の埋伏抜歯前の緊張に対する音楽鎮静の効果については、すでに検討済みで、国際学会でも2度報告済みである。おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、対象を静脈内鎮静法を併用せず侵襲の少ない歯科処置を受ける歯科治療恐怖症患者を対象に音楽鎮静の効果を心拍変動解析を中心に検討していきたい。
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Causes of Carryover |
2015年3月13日ボストンでのIADR学会でポスター発表の共同発表者であある宮田氏と小田中氏の旅費等(213547円×2名)を当該科研費から支弁したが、引き落としが2015年4月初旬となったたため、3月31日付けでの2014年度使用内訳書に記載できず、次年度分に引き落としとなった
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H25年、26年度で行った研究結果の学術雑誌への投稿および英文校閲のために使用し、また、H27年度に行う予定の侵襲の少ない歯科治療時の音楽鎮静の効果の検討の研究および発表、論文投稿に使用する。
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