2015 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者歯科治療時の異常高血圧を予測する無侵襲モニターの開発に関する研究(VI)
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25463131
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大渡 凡人 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80194322)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 高齢者 / 歯科治療 / 高血圧危機 / システム同定 |
Outline of Annual Research Achievements |
異常高血圧は高齢者の歯科治療における全身的偶発症の中では特に多い。異常高血圧は単に血圧が上昇するだけでなく重篤な脳血管障害、不整脈、心筋虚血などに進展しうるため、その予防は重要な意味を持つ。 異常高血圧を予防するには精度の高い予測が必須となるが、これまで有用な手段がなかった。そこで、血圧をリアルタイムに制御している生体の複雑な循環制御系をシステム同定という工学的手段により解析し、数学モデルとして現すことにより、異常高血圧を予測できるのではないか、という仮説を立てた。本研究の目的はシステム同定を用いて、高齢者歯科治療における異常高血圧の精度の高い予測方法を確立することである。 平成27年度は基礎データを収集するために、65歳以上ののべ14048症例を対象として、観血的歯科治療における高血圧危機を中心に全身的偶発症の発生状況,背景、対応等について解析を行った.平均年齢は76.1(5.5)歳で,男性6639症例,女性7407症例であった.全身的偶発症は平均で11%に発生していた.そのなかで循環器系合併症は最も多く、なかでも高血圧危機の頻度は高かった.高血圧危機は全身的偶発症の約半数を占めていた。病歴に高血圧を有する患者に多く、対応としてはその35%で経口あるいは頚静脈的に降圧剤を使用していた。また、外気温との有意な関連は認められなかった。有病高齢者の観血的歯科治療における全身的偶発症は循環器系,なかでも高血圧危機が特に多く,降圧剤や抗不整脈薬投与を含むリスクマネジメントが必要であることが示された.
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