2016 Fiscal Year Research-status Report
乳幼児の周術期における糖脂質代謝の改善に関する研究
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25463133
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
森本 佳成 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (00264870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 均 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (30218250)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ケトン体 / 術前経口摂取制限 / ブドウ糖 / 乳幼児 / 体組成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、対象者(乳幼児)に対してインピーダンス法を用いた体組成分析および血液検査による代謝ホルモン等を測定した。 方法:対象者は、3か月~4歳の乳幼児である。術前日にBioScan 920-2を用いて体組成を測定した。術前の絶飲食については、全身麻酔5時間前までに人工乳、2時間前までにブドウ糖液を飲用させた。手術室入室し、緩徐導入にて入眠後、体組成を測定した。24G留置針にて静脈穿刺し、1回目の採血を行い、その後ブドウ糖含有輸液を開始した。麻酔導入1.5時間後に2回目の体組成測定および採血を行った。 結果:月齢は平均20.5ヵ月、平均身長80.0cm、平均体重11.0kgであった。前日と比較した入室時の体組成では、総水分量は+4.7%、筋肉量は+0.1%、タンパク質量は-0.1%、グリコーゲン量は+0.2%であった。入室時の血中ホルモン値は、総ケトン体260.3マイクロmol/L↑、アセト酢酸50.7マイクロmol/L、βヒドロキシ酢酸209.7マイクロmol/L↑、遊離脂肪酸0.66mEq/L、レチノール結合蛋白1.73mg/dL↓、レプチン5.37mg/dL、血糖81.3mg/dLであった。1.5時間経過後では、総ケトン体1029マイクロmol/L↑、アセト酢酸177マイクロmol/L↑、βヒドロキシ酢酸852マイクロmol/L↑、遊離脂肪酸1.10 mEq/L↑、血糖183 mg/dL↑であった。 考察:現在の術前経口摂取制限のガイドラインに即して、術前のミルクまたはブドウ糖液の飲用にて、水分量、筋肉量、タンパク質量、グリコーゲン量は維持されていた。しかし、入室時にはすでに血中ケトン体値は大幅に上昇し、レチノール結合蛋白は低下していることが判明した。また、ブドウ糖輸液を行っても、1.5時間後にはケトン体値はさらに上昇し、遊離脂肪酸値や血糖値も上昇していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調にデータ収集が行えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの結果から、現在の術前経口制限のガイドラインに即して、乳幼児を対象に、術前のミルクまたはブドウ糖液の飲用により、水分量、筋肉量、タンパク質量、グリコーゲン量は維持されていた。しかし、入室時にはすでにケトン体値は大幅に上昇し、レチノール結合蛋白は低下していることが判明した。また、ブドウ糖輸液を行っても、1.5時間後にはケトン体値はさらに上昇し、遊離脂肪酸値や血糖値も上昇していた。この傾向が成人においても同様に発生するのかは不明であるため、成人を対象にして同様の調査を行う。その後、学会発表および論文作成を行う。
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Causes of Carryover |
本年度までに、順調に症例を集積できていたが、予定よりも数例登録症例数が下回ったため、未使用額が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度も、同様に症例を集積できる環境にあるため、全てを使用できる見込みである。
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