2014 Fiscal Year Research-status Report
脳組織の恒常性に対する麻酔薬の障害作用に関する細胞生物学的研究
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25463145
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
飯島 毅彦 昭和大学, 歯学部, 教授 (10193129)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グリコカリックス層 / 敗血症モデル / 全身麻酔薬 / 背側皮膚透明窓 / 蛍光レクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は臓器向上性に対する麻酔薬の影響を明らかにするため、循環生理学的機能に重要な役割を果たすとされる血管内皮細胞のグリコカリックス層の変化を観察することを目的とした。グリコカリックス層の観察は電子顕微鏡下での観察が主であるが、背側皮膚透明窓を用いると生体下での皮膚微小循環動態を可視化することが可能であるが、その手法は確立されていない。昨年度はグリコカリックス層の検証に多く用いられる敗血症モデルマウスの作製と背側皮膚透明窓の設置手技の習熟を行った。 本年度は背側皮膚透明窓から蛍光顕微鏡下で皮膚微小循環動態を観察するため、血管内皮のグリコカリックス層に結合するとされている蛍光標識レクチンを静脈内投与し、微小血管床における血管内皮の染色を生体蛍光顕微鏡で観察した。観察に使用した蛍光標識レクチンの選択は、複数のレクチンの中からそれぞれのレクチンにおけるグリコカリックス層との反応性の評価を行い、その中で特異的に染色が見られたレクチンを用いた。また、このモデルの灌流固定標本を作製し、電子顕微鏡下での観察も行った。 観察に用いた複数の蛍光標識レクチンのうちFITC-WGAにおいて細動静脈内腔側に明瞭な蛍光シグナルを認め、GCXと特異的に結合していることが示唆された。酵素投与を行ったところ、染色が減衰した様子が観察された。さらに、敗血症モデルではFITC-WGAによる血管内皮表層の染色は対照と比較して、層の厚み、蛍光の明るさ共に明らかに減弱していた。この結果は敗血症の病態生理下において血管内皮表層のGCXの崩壊を示しているといえる。同モデルにおいて電子顕微鏡下での観察も行ったところ、敗血症モデルにおいてGCXの菲薄化、断裂を認め、電子顕微鏡下においてもGCXの崩壊が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画では脳組織の直接観察を目標としたが、FRET現象を応用した観察手法は実施が難しかったため、計画通りに進まない時の対応として予定した背側皮膚透明窓の手法で研究を進めた。観察手法は変更されたが、研究目的である臓器恒常性に関する検討は予定どおり進行しているため、おおむね順調に進行していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
グリコカリックス層が寄与する生理学的機能として、グリコカリックス減衰によって生じる白血球粘着能上昇との関わり、敗血症病態時の血管透過性亢進との関連を検討していく。
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Causes of Carryover |
本年度に計画していた学会発表で費用が発生しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は研究成果の論文発表を計画しているため、そこで使用する予定である。
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Research Products
(4 results)