2014 Fiscal Year Research-status Report
DEXが抗精神病薬投与ラットの循環動態に与える影響
Project/Area Number |
25463155
|
Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
砂田 勝久 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (50171286)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 友花子(中野友花子) 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (20434144)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | デクスメデトミジン / 抗精神病薬 / アドレナリン反転 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗精神病薬と歯科用アドレナリン(Ad)添加リドカインを併用すると血圧低下が生じる。一方われわれはデクスメデトミジン(DEX)がリドカインの麻酔効果を増強し作用時間を延長することを明らかにした。そこで、本研究は抗精神病薬とDEXを併用した場合の循環動態と心機能の変動を検討し、DEXがAdに代わる血管収縮薬となりうるか検討することを目的とした。今年度はフェノチアジン系抗精神病薬のクロルプロマジン(CPZ)を投与したラットの舌にAdを注射し、両者を併用した場合の循環動態の変動を明らかにした。そこでWistar雄性ラットにプロポフォールを5mg/hrで投与し、左大腿動脈から動脈ライン、右頸動脈から左心室内に圧-容積測定用カテーテル(FTH-1912B-8018,サイエンス社製)を挿入した。次いでCPZ 10mg/kgを腹腔内に投与し、20分後に舌に生理食塩水(NS)または50 micro g/mlのAdを投与して循環動態と心機能を測定した。その結果、VedはADで低下し、2,3,4,10分でNSと有意差を認めた(p=.022, .037, .012, .037)。PesもADで低下し1分で有意差を認めた(p=.012)がその後は回復した。EesはADで上昇し、2分から10分まで有意差を認めた(.012,.012,.012)。SVは有意な差を認めなかった。SWはADで低下し1,2分で有意差を認めたが(p=.022, .012)その後回復した。SBPとDBPはADで低下し1,2,3分で有意差を認めたが(SBP:p=.012, .012, .012) (DBP:p=.037, .012, .012)その後回復した。PRはADで上昇し10分で有意差を認めた(p=.037)。 以上よりCPZとADを併用すると、血圧とSWは一時的に低下したがSVは変化しなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度はカテーテル挿入手技の習得にあて、実際の測定は26年度から始めることを予定していた。その後比較的速やかに手技を習得したため平成26年度中に各種濃度のCPZおよびAdを組み合わせた測定が可能となった。これまでにCPZラットにAdを投与した場合の循環動態と心機能の変動に関する検討はおおむね終了している。また引き続いてCPZラットにDEXを投与し、同様の測定を行っていることから、実験はおおむね計画通り進捗していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的であるCPZラットの口腔内にDEXを投与した場合の循環動態と心機能の変動を明らかにし、Ad投与の場合と比較する。そのために各種濃度のCPZとDEXを組み合わせて測定を行う。さらにフェノチアジン系抗精神病薬のCPZだけではなくブチロフェノン系抗精神病薬を対象にすることも考えている。 本研究を遂行する上での最大の課題は心機能測定用カテーテルが繊細でわずかな挿入位置の違いが大きな測定誤差につながる点である。一方挿入後は安定した測定を行うことは難しくない。したがって同一個体の経時的変化を評価することは比較的容易である。そこで測定値そのものの比較するのではなく、ベースラインに対する変化率で比較することにした。
|
Causes of Carryover |
当初の経過では25・26年度にアドバンス社製P-Vカテーテル・FTH-1912B-6018を6本購入する予定であった。しかし、測定手技に習熟したためカテーテルの消耗が軽減し現在までに購入したカテーテルは3本であった。また26年度に中国で開催された国際学会での研究成果発表を予定していたが、対日感情の悪化などを考慮して参加を中止した。以上が次年度使用額が生じた理由である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度の購入予定に加え老朽化しているカテ-テルを2本追加購入することと、新たな追加実験のためにラット並びに試薬の購入数を増やすことを計画している。
|