2014 Fiscal Year Research-status Report
アセチルサリチル酸によるBRONJ発症の予防法の開発
Project/Area Number |
25463161
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉村 善隆 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (30230816)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊入 崇 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10322819)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 歯学 / ビスホスホネート |
Outline of Annual Research Achievements |
ビスホスホネート系薬剤の服用者において抜歯後に発症する顎骨壊死(BRONJ)は、極めて重篤な症状が発症し難治性の疾患であることから、発症を予防することが重要となっている。抜歯処置が必要な場合は、BP製剤の休薬が推奨されているが、BP製剤の休薬がBRONJ発生を予防するという明らかな臨床的エビデンスは存在していない。初年度の研究において、マウスモデルを用いてアセチルサルチル酸(アスピリン)を投与した実験群ではBRONJの発症が抑制されることを明らかにした。そこで、昨年度の研究では、BRONJ発症過程におけるアスピリンの抑制作用機序について検討を行った。 ゾレドロン酸水和物(Zometa)をマウスの尾静脈に毎週投与を行い、投与1か月後に上顎第一臼歯を抜去、抜歯2か月後にマウスの屠殺を行い、アスピリン投与群と非投与群における抜歯窩周囲の組織像について比較検討を行った。アスピリン非投与群において、抜歯窩における顎骨壊死部の周囲では、好中球の浸潤を伴う炎症所見が広範囲に確認されたのに対し、アスピリン投与群では顎骨壊死部の周囲において浸潤している好中球の数は有意に減少し、炎症状態を呈している組織像の範囲は減少していた。一方、血中のTh1細胞数を測定したところ、アスピリン投与群ではアスピリン非投与群に対して有意に減少していることが判明した。また血漿中のTNF-αおよびIL-1βの濃度を定量したところ、アスピリン投与群ではアスピリン非投与群と比較して同じく有意に低下していることが判明した。以上の結果から、BRONJ発症過程において、アスピリンを投与することで炎症反応が軽減し、BRONJの発症が軽症化する可能性があることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って順調に研究が進んでいる。さらに、研究計画書作成時と比較して新しい知見が得られており、今年度の実験を継続することでさらなる成果を上げられる可能性があると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度同様に、BRONJモデルマウスを用いた実験の他に、実験動物で得られた情報に関して、in vitroでの詳細な検討を行う予定である。また、本年度と同様に炎症性サイトカインの培養上清中への放出量やmRNA発現をそれぞれRT-PCR法やELISA法を行い定量し、BP剤に対する細胞応答について検索を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
物品費(消耗品費)においてキャンペーン品があり、当初予定額より支出が抑えられ、経費の節約ができ、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
経費の節約により生じた未使用額243,853円については、3月に納品された消耗品の支払い、および、今年度の炎症性サイトカイン測定に関連する消耗品購入に使用する。
|