2013 Fiscal Year Research-status Report
TRPA1チャネル阻害剤を応用した薬物性歯肉増殖症の治療薬の開発
Project/Area Number |
25463180
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
中川 弘 徳島大学, 大学病院, 助教 (70192218)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 文博 徳島大学, 大学病院, 講師 (70229566)
北村 尚正 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50614020)
山本 愛美 徳島大学, 大学病院, 助教 (10630171)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯肉増殖症 / フェニトイン / P-HPPH / TRPA1 |
Research Abstract |
【実験1:フェニトインによる歯肉増殖のメカニズムについて】 実験1-1.線維芽細胞の増殖実験:細胞を96Wellのマイクロプレートを使って培養した。対照群にはDMSOのみを、実験群にはフェニトイン(20μg/ml)、P-HPPH (20μg/ml)を添加した。分析日にWST-1(10μl)を各Wellに添加し、マイクロプレートリーダーで測定した。その結果、対照群と実験群との間に有意な差は認められなかった。 実験1-2.コラーゲン量の測定実験:細胞を60mmディッシュに播き、7日間培養後、培養上清を採取し測定した。測定には、ヒトコラーゲンタイプI ELISAキットを使用し、各群の濃度を求めた。その結果、実験群のコラーゲン量が対照群に比べ増加傾向にあった。 実験1-1および1-2の結果より、フェニトインによる歯肉増殖のメカニズムは、細胞数の増加ではなく、コラーゲンの量が増加することによるものであることが分かった。 【実験2:コラーゲン量が増えるメカニズムについて】コラーゲン産生量の増加の指標としてcollagen type I mRNAを、コラーゲン分解量の低下の指標としてMMP1 mRNAとTIPM1 mRNAを用いた。48時間培養後、totalRNAを抽出した。その後、real-time RT-PCR法によって、各mRNAの発現を測定した。その結果、コラーゲン合成酵素は増加し、コラーゲン合成量は増加すると考えられる。一方、コラーゲン分解酵素も増加するが、同時にコラーゲン分解酵素阻害物質も増加し、結果としてコラーゲン分解量は変わらないと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コラーゲン量の測定を行うためのキットの入荷が遅れたため、コラーゲン測定実験の開始が遅れた。 また、real-time RT-PCR法を実験方法として用いたが、RNAの抽出やプライマーの作成に時間がかかり、最終的な結果を出すのが遅くなった。
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Strategy for Future Research Activity |
コラーゲン測定法とreal-time RT-PCR法の実験系を確立することができた。 この実験系を用いて、フェニトインやP-HPPHによる歯肉増殖に対してTRPA1の阻害剤であるHC303001が抑制効果を示すかどうかを検討する。 また、比較実験としてTRPV1の阻害剤であるCapsazepineの抑制効果についても検討する。 両者の結果を比較して、抑制効果の高い方を本研究の歯肉増殖抑制薬の主たる試薬に決定する。 主たる試薬が決まれば、その試薬と同じ作用を持つ植物の抽出液を探索し、その抽出液が歯肉増殖作用を示す濃度を決定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験系の確立に時間がかかり、本年度中に行う予定であったTRPA1阻害剤による歯肉増殖抑制実験が次年度に繰り越しとなった。その抑制実験に用いる試薬を購入するため、次年度使用額が生じた。 次年度使用額は、TRPA1阻害剤による抑制実験の試薬購入、コラーゲンキット購入、real-time RT-PCR法キットの購入予算に使用する。 翌年度分の助成金は、TRPA1阻害剤以外の候補試薬(TRPV1阻害剤)にの抑制効果を検討するために用いるキットの購入、成果発表などに使用する予定である。
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