2015 Fiscal Year Research-status Report
独自の視点からのヒト歯髄幹細胞の同定、選択的濃縮および特性解析
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25463192
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
稲田 絵美 鹿児島大学, 医歯学域医学部・歯学部附属病院, 助教 (30448568)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正宏 鹿児島大学, 医用ミニブタ・先端医療開発センター, 教授 (30287099)
齊藤 一誠 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90404540)
野口 洋文 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50378733)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 歯髄幹細胞 / PiggyBacシステム / 選択的濃縮 / アルカリフォスファターゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、歯髄幹細胞(DPSCs, dental pulp stem cells)においてES/iPS細胞や始原生殖細胞などのごく幼弱な細胞などの未分化細胞に特異的に発現されるOCT4 (octamer-binding transcription factor 4)遺伝子及びアルカリ性フォスファターゼ(ALP)を発現する細胞は、多分化能性を有する幹細胞であると考え、遺伝子工学的手法を用い初代歯髄細胞からALP陽性細胞を選択的に濃縮し、その特性を解析することにより、歯の再生に有効なDPSCsを見出すことを主眼とする。平成25年度はヒト乳歯歯髄細胞(HDDPC)からの遺伝子導入安定株の効率的取得法に関する検討を行った。また平成26年度以降はALP promoter の制御下EGFPを発現するプラスミドpALPEを構築し、HDDPCへの遺伝子導入を試みたが、ALP陽性細胞の単離に苦慮する結果となった。平成27年度は平成26年度での計画を継続しながら、別の試みとして、ALP活性検出のための組織化学的染色により陽性反応を示したHDDPCを実体顕微鏡下ガラスピペットで吸引、採取し、それからmRNAを採取し、遺伝子発現解析を行う方法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度には、遺伝子導入効率が高いとされるpiggyBac(PB)トランスポゾンによる遺伝子導入法をHDDPCに適用し、効率的に遺伝子導入安定株が取得でき、且つ長期培養後も導入遺伝子が脱落せず、その発現が持続されることが示された。平成26年度にはALP promoter の制御下EGFPを発現するプラスミドpALPEを構築し、HDDPCへの遺伝子導入を試みた結果、EGFPを発現する歯髄細胞を見出した。平成27年度はALP陽性細胞を単離するべく、ALP promoter の制御下EGFPとpuromycin耐性遺伝子を同時発現するトランスポゾン型プラスミドpTA-ALPEIPを構築し、これをtransposase発現ベクターと共にHDDPCに遺伝子導入し、薬剤で選別し、遺伝子導入安定株を増殖させる試みを行ったが、選別後に細胞がへたることが頻繁に見られ、解析可能な細胞数を確保することが困難だった。そこで、別の試みとして、HDDPCをsingle cellにした後、ALP組織化学染色を行い、陽性を示した細胞を実体顕微鏡下で採取する試みを行った。その結果、single cellの状態で採取することが可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では遺伝子工学的にALP陽性細胞を特異的に濃縮し、その特性を解析することを目的とする。よって平成28年度はpTA-ALPEIPの乳歯歯髄細胞への遺伝子導入からの単離を継続する。遺伝子導入後、薬剤選別を行い、少数個の細胞でも増殖の効率を上げることが期待される培地の検討を行う(例えば、細胞増殖促進剤であるFGF2と抗酸化作用を示すアスコルビン酸の併用)。また同時に、single cellの状態で採取したALP陽性細胞について、特性解析を進めるため、微量のRNAからcDNAを合成し、それを鋳型とする全ゲノム増幅(WGA)を行い、得られたcDNAを基にRT-PCR解析などの分子生物学的解析を行うことを考えている。
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Causes of Carryover |
平成28年度以降は分子生物学的解析や組織標本作製を行う機会が増える見込みである。そのため、次年度使用額として翌年度分に助成金を請求した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度の研究費使用計画は以下の通りである。 物品費:細胞培養用試薬、分子生物学用酵素、大腸菌培養用試薬等の消耗品、旅費:日本小児歯科学会、歯科基礎医学会学術大会の参加と研究打ち合わせ、謝金:研究補助の謝金、その他、論文校正料、投稿料を計上した。
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[Journal Article] Choice of feeders is important when first establishing iPSCs derived from primarily cultured human deciduous tooth dental pulp cells.2015
Author(s)
Saitoh I, Inada E, Iwase Y, Noguchi H, Murakami T, Soda M, Kubota N, Hasegawa H, Akasaka E, Matsumoto Y, Oka K, Yamasaki Y, Hayasaki H, Sato M.
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Journal Title
Cell Medicine.
Volume: 8
Pages: 9-23
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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