2014 Fiscal Year Research-status Report
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25463197
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
高橋 摩理 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (20445597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大岡 貴史 昭和大学, 歯学部, 講師 (30453632)
内海 明美 昭和大学, 歯学部, 講師 (40365713)
向井 美惠 昭和大学, 歯学部, 名誉教授 (50110721)
冨田 かをり 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (80338532)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自閉症スペクトラム / 捕食動作 / 三次元動作解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症スペクトラム(以下ASD)は社会性、コミュニケーション、想像力の障害の他、感覚偏移や協調運動障害が症状としてあげられ、日常生活の困難さを招いている。その中でも食事に関係する問題は、保護者や療育者が対応に難渋しているのが現実である。また、Down症候群をはじめとする遺伝子疾患のある小児に発達障害の合併が多くみられ、ASDのみならず障害のある小児全般への対応が必要である。 ASDにおける協調運動の不全、特に口・眼・手の協調運動不全が食具操作の未熟を招き、摂食機能の未熟の誘因となっていると考えられる。そこで、発達障害によくみられる食具操作を健常成人に再現してもらい、その動作解析を行うことにより問題点を明確にし、ASD他発達障害をもつ小児の支援に役立てられると考える。 健常成人を対象にスプーンでゼリー状食品を摂取する様子を①通常の方法、②スプーンの柄の端を持つ方法、③捕食ぎりぎりまでスプーンを追視する方法、④②と③を組み合わせた方法の4種類の摂取方法を録画し三次元解析を行うことで,定量的な検討を行う。 また、スプーンの口裂に対する位置の違いが捕食動作に影響を与えるかどうかを検討するために、位置を変えて捕食圧を測定し比較検討を行う。 さらに、小児(定型発達している小児、障害児)の摂食場面の観察評価を行い、本研究で得られた結果が摂食指導に有効であるかどうか検討していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は口・眼・手の協調運動不全が摂食動作、捕食動作にどのような影響を与えるかを検証することである。25年度に13人のデータを収集したが本年度は人数を追加し、計20名のデータを収集することができた。 健常成人20名を対象にスプーンでゼリー状食品を摂取する様子を①通常の方法、②スプーンの柄の端を持つ方法、③捕食ぎりぎりまでスプーンを追視する方法、④②と③を組み合わせた方法の4種類の摂取方法を録画し三次元解析を行った。さらに、スプーンの口裂に対する角度が捕食に与える影響を検討するために健常成人4人に対して、ヨーグルト摂取においてスプーンを正中から取り込む、口角付近で取り込む2パターンの捕食時口唇圧を測定した。その結果、①と比較し②④のほうが捕食までに有する時間が長く、特に④で顕著であった。捕食時の口裂に対するスプーンの角度は鋭角になるケースが多かった。捕食時口唇圧を測定したところ、正中に比較し口角付近が有意に低い値を示した。すくってから口に取り込むまでの時間が長いということは、口に運ぶまでの間にスプーンから食物が落ちる可能性が大きくなることを示唆している。また、口裂に対するスプーンの角度が鋭角では捕食時に口唇からこぼれることが考えられる。このように摂食機能に影響を与える要因はスプーンの把持位置に関係し、スプーンの追視が長くなるとその傾向が顕著になること、健常成人においてはスプーンの追視時間の長短では摂食動作への影響が少ないことが示唆された。 一方、計画では定型発達している小児に対しても成人同様に実験を行う予定であったが、小児がいつもと違う方法でスプーン操作を行うこと困難であり正確なデータを得にくいと判断し、小児を対象とした実験は行わなかった。小児の摂食場面を観察しその実態について検討を行い一部発表を行った。 これらのことから研究はおおむね順調に進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は口・眼・手の協調運動不全が摂食動作、捕食動作にどのような影響を与えるかを検証することである。平成25年度,26年度で、摂食機能に影響を与える要因はスプーンの把持位置に関係し、さらにスプーンの追視が長くなるとその傾向が顕著になること、健常成人においてはスプーンの追視時間の長短では摂食動作への影響が少ないことが示唆された。
これらの研究結果を学会で発表し、意見交換を行っていく予定である。 また、食具操作の未熟さの評価に、肩関節角度、肘関節角度,手関節角度,口裂に対するスプーンの角度が有効であると推察されたことから、実際に障害のある小児の摂食場面を観察記録し、これらの評価項目が適当かどうか考察していく予定である。
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Causes of Carryover |
26年度はデータ収集、データ解析を主に行った。そのため解析用ソフトの購入や解析用のコンピューター購入により物品費の使用金額が高くなった。一方、研究成果発表の機会が予定より少なく、旅費、論文掲載費用であるその他の項目において差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度であり、これまでの研究成果発表にための学会参加費、論文発表のための掲載料等に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)