2013 Fiscal Year Research-status Report
空間的ドラッグデリバリーシステムによる成長因子複合移植法の開発
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25463211
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 恵美子 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80374528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 茂 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (70241338)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | BMP / FGF / EMD / 歯周組織再生 / 水平性骨欠損 |
Research Abstract |
1.歯周組織を誘導する成長因子についての解明が進み、Bone Morphogenetic Protein (BMP) 、fibroblast growth factor (FGF)、 enamel matrix derivative (EMD)などが有効であることが、報告されてきた。これらの成長因子には各々標的細胞があり、誘導組織の検証と同時にその限界も明らかにされてきた。近年、これらを組み合わせることによる相乗効果が期待されている。移植方法としてスペーサー法は、BMPによって生じる異常治癒の抑制方法として、以前我々が考案、提唱したものであるが、これをBMPと、FGFやEMDとを層状に組み合わせて移植する方法に改良してdouble layer constitute method(DL法)を考案した。本研究では、下顎前歯部に4mmの水平性骨欠損を作成した後、移植12週後に病理組織学的に観察して、BMPとEMD、BMPとFGFの混合との比較を行った。DL法は、いずれも根吸収ならびに骨性癒着という異常な治癒は認められず、歯槽骨の再生もBMP単独よりも多かった。さらに混合群では骨性癒着が認められたので、広い歯周組織欠損部に対して成長因子を組み合わせて応用する場合、DL法が有効であることが示唆された。 2.一般的に成長因子はバイオマテリアルに配合して用いる。このバイオマテリアルは担体として働く他に、少なくとも再生空間の確保、細胞の足場として働く事が示唆されている。内径300μm前後のトンネル構造が、骨形成期の血管増殖を容易にすることより、本研究では、トンネル構造を維持できる強度を持つbeta tricalcium phosphate(βTCP)を、根分岐部3度のモデルを用いて検証した。移植8週後では顆粒状のβTCPよりも分岐部内の骨再生量が多く、歯根膜の形成も認められた。さらにFGFと配合した場合には、βTCP単独よりもトンネル内及び外側ともに骨再生量が多く、歯根膜の再生も多かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、Bone Morphogenetic Protein (BMP) とfibroblast growth factor (FGF)あるいは enamel matrix derivative (EMD)とを組み合わせて移植する治療法の開発に取り組む研究を行っている。本研究課題では1.成長因子の組み合わせ、2.組み合わせる方法、3.成長因子を配合するバイオマテリアルの検証を予定している。 1.成長因子の組み合わせについては、骨形成能力に優れるBMPが、結合組織性付着の形成に優れるFGF、EMDと組み合わせることによって、いずれの場合でも単独で用いた場合に比べ歯周組織再生量は増大する事を解明した。2. 組み合わせる方法については、本研究課題ではBMPと、FGFやEMDとを層状に組み合わせて移植する方法としてdouble layer constitute method(DL法)を考案した。DL法は、いずれも根吸収ならびに骨性癒着という異常な治癒を認めず、歯槽骨の再生もBMP単独と比較して多かった。さらにBMPと単に混合して移植した場合には、骨性癒着が認められたので、広い歯周組織欠損部に対して成長因子を組み合わせて応用する場合、DL法が有効であることが示唆された。3. 成長因子を配合するバイオマテリアルの検証では、内径300μm前後のトンネル構造が、歯周組織の再生に有効である可能性が示唆された。しかし本年度までの研究では、そのメカニズムについて十分な検索を行っていない。さらにこの構造を用いたDL法での検証を行なっていないので、今後の研究課題とする。 なお、動物の体調不良などのトラブルもなく、大学院生および実験協力者との連携によって、実験が遂行した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の研究結果をもとに、今後は成長因子を配合するバイオマテリアルの適性の検証を行う予定とする。次年度は、成長因子を配合して用いる予定のコラーゲンにトンネル構造を付与し、血管の侵入や組織形成に関する基礎的な実験を行う。さらに、ビーグル犬に水平性骨欠損モデルを作製して、トンネル構造を同一方向に繰り返すハニカム構造のコラーゲンを用いて、トンネル構造が歯周組織再生に与える影響を検索する。 実験1 ラットの背部皮下を用いた検索:トンネル構造を付与したコラーゲンおよび、スポンジ状コラーゲンを、ラットの背部皮下に移植を行う。その後、治癒初期(1、3、5、7日)におけるコラーゲン内への細胞の侵入状態を病理組織学的に検索し、トンネル構造による治癒のメカニズムの解明を行う。 実験2 ビーグル犬の水平性骨欠損部での検索:前歯部に4mmの水平性骨欠損を作成して、ハニカム型コラーゲン、スポンジ状コラーゲンの移植、あるいはsham operateを行う。観察期間を12週として、ハニカムコラーゲンが歯周組織再生に与える影響を病理組織学的に検索する。 実験は本年度と同様に大学院生らと伴に行い、進行状況などについては共同研究者らと十分に協議しながら行う。上記の実験から得られた研究結果は、学会発表および学術雑誌などへ発表を行う予定。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年3月31日までに全額を使用し納品されたが、平成26年4月の支払いとなった物品があった為、未使用額が生じたものである。 未使用額は、前年度に納品された物品の支払いに充てる。
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Research Products
(4 results)