2013 Fiscal Year Research-status Report
歯周炎予防・治療におけるレスベラトロールの応用に向けた基礎的な研究
Project/Area Number |
25463215
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
奥井 隆文 新潟大学, 医歯学総合病院, 医員 (10509540)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | レスベラトロール / 歯周炎 / 歯肉上皮細胞 / 抗炎症性作用 |
Research Abstract |
レスベラトロールはブドウの皮や赤ワインに含まれるポリフェノールの1種である。本研究では歯周組織を構成する細胞や歯周炎モデルマウスに対するレスベラトロールの作用とその作用メカニズムを明らかにすることにより,歯周炎に対するレスベラトロールの有益性を明らかにすることを目的としている。 平成25年度は歯肉上皮細胞を用いた実験を行った。歯肉上皮細胞を代表的な歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalisで刺激すると各種炎症性サイトカインの遺伝子発現が上昇したが,レスベラトロールの投与によりその上昇は抑制された。その作用メカニズムを明らかにするため,レスベラトロールの様々な作用を媒介することがこれまでに報告されている物質について解析を行った。サーチュインの1種であるSIRT1の阻害またはノックダウン実験からは,本研究における抗炎症性作用においてはSIRT1の関与が低い可能性が示された。またレスベラトロールはAMPKの十分な活性化を誘導しなかったことより,その関与が低いことが示された。さらにレスベラトロールは活性酸素種の産生を抑制しなかったことより,レスベラトロールの抗酸化作用が抗炎症性作用を媒介している可能性は低いことが示された。 以上より,歯肉上皮細胞においてはレスベラトロールの作用メカニズムが既知の報告とは異なる可能性が示唆された。既知の報告のほとんどは代謝に関わるような細胞や組織を解析対象としているため,細胞や組織の違いによってレスベラトロールの作用や作用メカニズムが異なることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は主にin vitroでのレスベラトロールの作用を解析することを予定していて,そのための実験が概ね終了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
歯肉上皮細胞におけるレスベラトロールの作用メカニズムを明らかにするため,炎症性応答に重要な他の分子の関与についてさらなる検討を行っていく。その後,歯肉線維芽細胞に対するレスベラトロールの作用および歯周炎モデルマウスに対するレスベラトロールの有益性を明らかにするための研究を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は400円であり,基本的には当初の計画通りに使用されたということである。よって,次年度使用額が生じた特別な理由はない。 上記の理由により,当初の計画に則って研究を遂行する。
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