2015 Fiscal Year Annual Research Report
IL-10応答を中心とした歯周病原細菌感染に対する慢性炎症成立機構の基盤解明
Project/Area Number |
25463216
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中島 貴子 新潟大学, 医歯学系, 講師 (40303143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多部田 康一 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20401763)
伊藤 晴江 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30397145)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯周炎 / IL-10 / マウス / 抗炎症 |
Outline of Annual Research Achievements |
H25-26年度の研究成果より、慢性歯周炎で認められる歯槽骨吸収には、歯肉局所の細菌と炎症性メディエーターが、局所性に直接的に、または全身を介して間接的に関わっているという両方の可能性が示唆された。最近、我々の研究グループは歯周病原細菌P. gingivalis経口感染マウスモデルにおいて、腸内細菌叢の変化と肝臓、脂肪組織における炎症関連分子、脂質・糖代謝関連分子の有意な変動を報告した。そこで、本研究課題においてはH26年度に引き続き、歯の周囲に絹糸を結紮して細菌性プラークの蓄積と糸による機械的傷害刺激によって歯肉の炎症と炎症性歯槽骨吸収を惹起させるリガチャーマウスモデルを用いて、全身循環、肝臓、腸管における炎症関連メディエーターの発現を解析した。歯肉組織ではIL-1βの有意な発現上昇を認め、血清中ではIL-6の有意な増加がみられたものの、エンドドキシンのレベルには変化を認めなかった。肝臓においてIL-6をはじめとする炎症性サイトカインの発現増強は認められなかった。肝臓における糖新生や脂肪酸合成に関わる分子の発現上昇を認めたがP. gingivalis経口感染マウスで認められた脂質代謝、糖代謝に関係する幅広い分子群の変動は見られなかった。さらに、腸管上皮のタイトジャンクションを担うoccludin、tight junction proteinの発現は低下傾向、IL-17はわずかに上昇傾向にあったが、これもP. gingivalis経口感染モデルのように明らかな変動ではなかった。そして腸内細菌叢にも有意な変動はみとめなかった。一方、P. gingivals経口感染モデルでは、腸管における炎症性サイトカインIL-6、IL-17の有意な上昇は先の報告同様に認められたが、抗炎症性サイトカインIL-10についても解析を追加したところ、発現には有意な変動を認めなかった。
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