2013 Fiscal Year Research-status Report
歯周炎病変局所におけるTh17細胞浸潤・活性化機構の解析
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25463219
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
細川 義隆 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (90346601)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 正 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (00217770)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯周炎 / 歯根膜細胞 / Th17細胞 / CCL20 |
Research Abstract |
歯周炎はプラーク中に含まれる歯周病原性細菌により惹起される慢性炎症性疾患でT細胞を含む免疫担当細胞が病変の発症および進行に関与している事が報告されている。Th17細胞はhelper T細胞の一種であり、Th17細胞が産生するサイトカインであるIL-17が破骨細胞を活性化する事により炎症性骨吸収に関与していることが報告されている。本研究ではTh17細胞浸潤に関与しているケモカインであるCCL20に着目し、ヒト歯根膜細胞(HPDLC)のCCL20産生機構を解明することを目的として解析を行った。今回は歯周炎病変局所に存在する炎症性サイトカインであるIL-1betaとIL-6に着目し検討を行った。 この研究により、IL-6/sIL-6R刺激はIL-1betaが誘導するHPDLCのCCL20産生を相乗的に増強する事が明らかとなった。また、IL-6/sIL-6RとIL-1betaの共刺激で相乗的に誘導されるCCL20産生にSTAT3を介するシグナル伝達経路が関与している事を明らかとした。 これらの結果より、炎症局所に存在しているIL-6とIL-1betaは協調し、HPDLCのCCL20産生を相乗的に誘導し、Th17細胞が歯周炎病変局所に集積させ、歯槽骨吸収を促進する機序が考えられた。ゆえに、IL-6およびIL-1betaを阻害しCCL20産生を減少させることでTh17細胞浸潤および集積を減らし、歯周炎病変局所でのTh17細胞関連炎症性歯槽骨吸収を抑制できる可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯周組織構成細胞の一つである歯根膜細胞においてIL-6とIL-1betaの刺激でTh17細胞浸潤を促すケモカインであるCCL20産生が誘導されることを明らかとし、この産生にはSTAT3を介したシグナル伝達経路が関与していることを明らかとした。この成果は第56回春季日本歯周病学会学術大会において発表を行い、さらにその内容をinflammation誌に投稿し、受理され、発刊された。この結果より歯周炎病変局所へのTh17細胞浸潤機構の一端を明らかとしたことより、研究はおおむね順調に進展していると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は刺激物質として炎症性サイトカインだけではなく歯周病関連細菌を用い、さらに歯周炎病態に近い状態でのCCL20産生機構をシグナル伝達も含めて解明する。また、歯根膜細胞以外の歯周組織構成細胞である歯肉線維芽細胞や歯肉上皮細胞を用い、さらに多方面からTh17細胞の歯周組織への浸潤機構を明らかとする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初参加予定であった学会への参加ができなかったこと、購入予定物品の価格が大きくディスカウントされていたことが主な要因として考えられる。また、すでに購入していた試薬のストックが一部あり購入する必要がなかったことも要因として考えられる。 今年使用しなかった研究費ならびに請求した研究費を用い積極的に国内ならびに海外での学会に参加し実験結果の報告を行う予定とする。さらに、Th17細胞の浸潤・活性化に関与するサイトカインだけではなく分化に関与するサイトカイン産生を調べるため新たなELISAキットならびに抗体を購入する予定である。
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Research Products
(7 results)