2013 Fiscal Year Research-status Report
喫煙が歯周病原菌の宿主細胞侵入に及ぼす影響の分子メカニズム解明
Project/Area Number |
25463228
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
齋藤 淳 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (60266559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 和幸 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00212910)
高山 沙織 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (00550013)
国分 栄仁 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (70453785)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 喫煙 / タバコ煙 / 歯肉上皮細胞 / 遊走能 |
Research Abstract |
喫煙は歯周病の重大なリスクファクターであるとともに,歯周病治療の成果にも悪影響を与えることが示唆されている。これまで喫煙が歯周組織に及ぼす影響については,主にニコチンを中心に研究がなされてきたが,タバコ煙が宿主細胞に及ぼす影響については未だ明らかにされていない点が多い。初年度は,タバコ煙が歯肉上皮細胞の機能に及ぼす影響を検討することを目的とし実験を行った。 ヒト歯肉上皮細胞Ca9-22 を10% FBS 添加MEMにてコンフルエントに達するまで培養した。予備実験で決定した濃度のニコチンまたはタバコ煙濃縮液 (CSC)を24 h 作用させた後,細胞の生死はトリパンブルー排除試験,細胞増殖能はWST-1,遊走能はwound healing assayにて評価を行った。CSC添加後の細胞形態は位相差顕微鏡で,細胞骨格は共焦点レーザー顕微鏡(CSLM)にて観察した。 喫煙者の唾液中濃度に相当するニコチン濃度の範囲において,Ca9-22の細胞生死と増殖能に変化は認められなかった。CSC濃度 0.1-50 μg/mlではCa9-22のwound healingに濃度依存性の促進が認められ,細胞形態および細胞骨格に変化が観察された。250μg/ml (ニコチン濃度約6.0 μg/ml ) 以上のCSC濃度ではwound healingの抑制が認められたことから,CSCは濃度により歯肉上皮細胞の遊走能に二相性の影響を及ぼし,これには細胞骨格の変化が関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた計画どおりほぼ順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,現在解析しているタバコ煙濃縮液(CSC)がヒト歯肉上皮細胞の遊走能に及ぼす影響についてさらなる知見を得るため,遊走能への関与が報告されている細胞接着分子であるインテグリンの発現について検討する予定である。また,実際の歯周局所では歯周病原細菌の感染が問題になるため,歯周病原細菌も加えたin vitroモデルで検討を行うことを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
発注した物品の納入価格が予想を下回ったため。 次年度使用額は培地等消耗品の購入に使用予定であり,H26年度の使用計画には大きな変更はない。
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