2015 Fiscal Year Annual Research Report
Toll様受容体とケモカインに着目した歯槽骨代謝機構の解明
Project/Area Number |
25463232
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 公也 北海道大学, 大学病院, 助教 (00261313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出山 義昭 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (80271667) [Withdrawn]
兼平 孝 北海道大学, 大学病院, 講師 (90194935)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Toll like receptor 5 / 骨芽細胞 / フラジェリン / CX3CL1 / CXCL12 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の目的は、Treponema denticolaが有するフラジェリンに着目し、骨芽細胞に対する影響を明らかにすることである。 昨年度に引き続き、本年度もフラジェリンが誘導するケモカインの発現動態についての研究を行った。最初にCX3CL1の動態について確認した。CX3CL1に関してはフラジェリンの添加がなくとも培地の交換等によりmRNAが経時的に変化し、これが昨年度の研究でもたらされたmRNA発現とタンパク発現の乖離につながったものと思われた。ただ、対照群と比較して有意差は認めなかったもののmRNA発現がフラジェリンにより上昇する傾向は認められたので、今年度も引き続きCX3CL1に関する研究を進めた。さらに、研究当初はmRNA発現の変化がわずかであったために着目しなかったCXCL12に関しても再度、研究を進めることとした。フラジェリンが誘導するこれらケモカイン発現に対する炎症性サイトカインの影響をみるためにTNF-alpha、IFN-gammaおよびIL-1betaで刺激しreal-time PCR法を用いて検討した。その結果、CX3CL1に関しては、いずれの炎症性サイトカインにおいてもmRNAの発現レベルが誘導され、中でもTNF-alpha およびIL-1betaではその誘導が顕著であった。また、CXCL12に関してはIL-1betaで刺激したときのみ、そのmRNA発現レベルの上昇が認められた。 歯周疾患の発生・進行を考える上では骨芽細胞を中心としたサイトカインネットワークを考慮することの意義が本研究から示唆された。歯周疾患の進行抑制を実現するための方策を検討する上で今後はフラジェリンだけではなく、他のToll様受容体リガンドにも着目し、歯槽骨代謝に関する分子生物学的研究を継続していく必要があると思われた。
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