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2015 Fiscal Year Research-status Report

唾液ムチン分子修飾によるデンタルケアの強化と高齢者の誤嚥性肺炎の予防

Research Project

Project/Area Number 25463236
Research InstitutionTokyo Medical and Dental University

Principal Investigator

竹原 祥子  東京医科歯科大学, 国際交流センター, 助教 (60622438)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2017-03-31
Keywords唾液 / ムチン / MUC7 / 抗菌作用 / 細菌 / 分解
Outline of Annual Research Achievements

高齢者にとって、誤嚥性肺炎などの気道感染の予防はきわめて重要であり、多くの施設でクロルヘキシジンなどが配合された抗菌剤を使った口腔ケアが行われているが、副作用があり長期使用は好ましくない。当研究は従来の抗菌剤に替わる抗菌性を持つ唾液ムチンに着目し、抗菌性が強く発揮できる唾液ムチン分子修飾パターンを同定し、誤嚥性肺炎予防のためのデンタルケア強化に応用する。
ヒトの唾液に含まれる主要タンパクのひとつ唾液ムチン(MUC7)は抗菌作用があることで知られている。さらに唾液ムチンはシアル酸を含む糖鎖によって修飾を受けており、分子量の70%近くが糖鎖である。本研究においては、唾液中での分解パターンをチェイスし、シアル酸を含む糖鎖の分解、コアプロテイン分解、MUC7の半減期、抗菌性の変化を調べ、分解のメカニズムと抗菌作用を解明する。我々の予備実験から、MUC7の分解について、抗菌性部位は10-20分程度の短時間で分解する、MUC7の糖鎖からシアル酸を取り除くと、抗菌性部位がより速く分解することが示された。この結果より、MUC7の持つ抗菌性部位分解により抗菌作用は短時間で失われる、抗菌性はシアル酸分解によってさらに急速に失われるという仮説をたてた。この仮説のもと、MUC7の分解と抗菌作用の関連について明らかにすることが本研究の目的である。
これまでの実験では、ヒト顎下腺由来の細胞から組換えMUC7を精製し、唾液中での分解パターンのチェイスを計画した。しかし組換えによって得られたMUC7は、糖鎖による修飾が行われないことなどから、計画を変更し、別の方法で唾液タンパク質精製を行うことにした。ようやくヒトの唾液より唾液ムチンの精製が可能であることが確認できた。今後は唾液ムチンが口腔内細菌にどのような作用をするのか、その作用は唾液ムチンの分解によってどのように変化するのかについて検証する予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

これまでの研究では、ヒト顎下腺細胞A253細胞の培養液からムチン精製を試みた。この方法でムチン精製が可能であれば、MUC5BおよびMUC7にタグを組み込むためのcDNAを導入する遺伝子組み換えを行う予定で実験を進めていた。実験のための準備として、遺伝子組換えの実験の申請も行い、東京医科歯科大学から許可を得た。しかし、ヒト顎下腺細胞A253細胞からは目的とするMUC7およびMUC5Bが分泌されていないことがわかった。そのため、異なるアプローチでのMUC5BおよびMUC7精製の検討を行った。先行論文の検索および研究協力者とのディスカッションを重ね、遠心分離法による精製を試みることにした。
遠心分離法では、ヒトから採取した唾液からMUC5BとMUC7を精製するために、セシウムクロライドを加える密度勾配遠心法を用いた。加えるセシウムクロライドの濃度などの条件については過去の論文を参考にして、実験を行った。実験計画は、先行研究による論文を参考にして立てたが、予想した結果が得られず、条件を変えて何度も実験を繰り返した。そのため予想以上に実験に時間を要したが、MUC5BとMUC7が特定の分画に濃縮されることが、ウェスタンブロッティングの結果から明らかになった。

Strategy for Future Research Activity

ヒト唾液からMUC5B,MUC7を精製するための条件設定が出来たので、これを元に本実験を進める。本実験をすすめるための倫理審査委員会の許可申請は現在準備中であるが、早急に申請を行い、なるべく早く着手できるようにする。同時に、本研究で実験対象とする細菌について、過去の論文を参考に検討を行い、細菌に対する制菌作用を調べるための予備実験を行う。ムチンの精製にかなり時間がかかるうえ、一度に精製できる量に限度がある。精製を待っていては、実験が進まないため、パイロット実験の意味で、唾液からムチンが粗精製(濃縮)された溶液や唾液を用いて、抗菌作用について検討を進める予定である。また抗菌作用を調べる細菌の種類についても先行論文等などを調べるなど、検討を行う。

Causes of Carryover

遺伝子組み換えによって唾液タンパク質MUC7の精製を計画したが、糖鎖による修飾の程度の制御が難しかったことから計画を変更した。次にヒト唾液から等密度遠心法による精製を試みる予備実験を行った。先行研究を参考にして実験を実施したが、予想する結果が得られず、実験に予想以上に時間を要した。そのため進捗が遅れ、当初使用予定の試薬や細胞株等の購入が行えなかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

当初計画していた遺伝子組み換え用の試薬ではなく、タンパク質精製用のための試薬や器材、細菌株、細菌培養の試薬、器具などの購入を行う予定である。

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Published: 2017-01-06  

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