2015 Fiscal Year Annual Research Report
周術期管理における術後の継続的な口腔管理の有効性の検討
Project/Area Number |
25463242
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
水谷 慎介 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90643312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 貴之 岡山大学, 大学病院, 助教 (30580253)
森田 学 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40157904)
江國 大輔 岡山大学, 大学病院, 講師 (70346443)
友藤 孝明 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80335629)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 口腔ケア / 周術期 |
Outline of Annual Research Achievements |
食道癌の手術は、全身的なダメージが大きく手術後のトラブルも非常に高い確率で発生する。特に、術後感染症の一つである肺炎は発症頻度が高い。術後の肺炎発症のリスクを低減するために、歯科分野では術前に口腔内の歯垢除去(プラークフリー)や術後の口腔ケアを行うことでその効果が期待されている。本研究は術前に口腔内プラークフリーを受けた食道癌手術患者を対象に、術後の専門的口腔ケア介入が口腔内状態や全身の状態、または術後の合併症発生率にどれほど影響を与えているのかを検討することとした。 対象者は2015年1~8月に岡山大学病院にて食道癌の手術を受けた患者44名(対照群23名、専門的口腔ケア介入群21名)とした。介入群は看護師とともに歯科医師が口腔ケアを実施し、対照群では看護師のみが口腔ケアを実施した。肺炎の発症、術後3日以上の38度以上の発熱の有無を主要評価項目とし、口腔内細菌量、舌苔スコア、口腔清掃度、APACHE ⅡなどのICU重症度評価、および縫合不全などの術後合併症の有無を検討項目とした。 専門的口腔ケア介入により、口腔内細菌量の減少と良好な口腔衛生状態が認められた。肺炎発症は介入群1名(4.3%)、対照群で4名(19.0%)であったが、統計学的に有意な関係がある因子はなかった。一方、多変量解析の結果、術後3日以上の38度以上の発熱に関与する因子は、縫合不全(オッズ比=28.15, 95%信頼区間; 2.06-384.25, P<0.05)および専門的口腔ケアの未介入(オッズ比=13.09, 95%信頼区間; 2.04-84.03, P<0.05)であった。 術前の口腔内プラークフリーおよびICU看護師による口腔ケアを受けている食道癌患者に対して、歯科医師が専門的口腔ケアを行った場合、ICUでの口腔衛生管理が可能となり、そのことは術後の発熱日数の減少に寄与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)