2013 Fiscal Year Research-status Report
ソシオメトリ分析による地域社会の連携改善への介入が乳幼児う蝕抑制に及ぼす効果
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25463250
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
弘中 美貴子 九州大学, 歯学研究科(研究院), 共同研究員 (70615286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋崎 義浩 九州大学, 歯学研究科(研究院), 共同研究員 (10291519)
古田 美智子 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20509591)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会的決定要因 / 健康指標 / 地域環境 |
Research Abstract |
これまでは個人のリスク要因のみで語られることの多かった歯科疾患に対し、近年では地域要因の影響が報告されている。本研究では、乳幼児う蝕などに代表される口腔の疾患を対象に、個人の保健行動だけではなく、地域の保健環境を把握した解析を行なうことで、地域の特性が個人に与える影響を検討し、今後、地域環境への介入を進める上での基礎資料を得ることを目的とした。 本年度は、われわれの先行研究で熊本市内の校区単位で1 歳 6 ヵ月児の保護者の育児力に地域差が見られたことを踏まえ、同地区の人口の高い割合を占める高齢者の健康状態を地域の特性の一つと考え、アンケートにて5校区に居住する民生委員、および地域包括支援センターが関わる65歳以上の高齢者を対象に地域の環境と主観的健康観の関連を調べた。1,554名のうち、1,253名から回答を得た(回収率80.6%)。主観的健康観の項目で、「健康である」と回答した者は全体の67.1%であった。カイ二乗検定にて、地域の環境と主観的健康観の関連を検討したところ、コミュニティセンターや公民館やサロンといった地域の集会所が自宅の近くにある人ほど、主観的健康観が高い人が有意に多かった(p<0.001)。同様に、バス停や駅などの公共交通機関が自宅の近くにある人ほど主観的健康観が高く(p=0.003)、隣家が自宅の近くにある人ほど主観的健康観が高い傾向が見られた(p<0.001)。このことから、高齢者においては自宅周辺の環境が地域の特性を表す健康指標となる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、高齢者の健康状態を地域の特性の一つと考え、アンケートにて熊本市内5校区に居住する民生委員、および地域包括支援センターが関わる65歳以上の高齢者を対象に地域の環境と主観的健康観の関連を調べた。この結果から、地域の特性として自宅周辺の環境が高齢者の健康に影響を与える健康指標となる可能性が示唆された。しかし、現在のところ、そこで得られた健康指標が乳幼児う蝕などの口腔疾患と関連しているかどうかを検討するには至っておらず、そうした分析を進めていくことが次年度の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、高齢者を対象に地域の環境と主観的健康観の関連を調べたが、地域の環境が個人要因を調整した上でも関連しているかを検討することで、はじめてその地域における社会的決定要因を決定することができると考える。そのため、今後は高齢者の主観的健康観との関わりが示唆された公民館やサロンなどの地域の集会所、バス停や駅などの公共交通機関、隣家が自宅にあるかなどといった地域要因を個人要因とともにマルチレベル分析にて同時投入を行なって検討をする予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、当初の計画と異なり、高齢者のフィールドに限局した調査となり、乳幼児などの若年者のフィールド調査は行なうことができず、当該助成金が生じた。 次年度は高齢者と若年者の両方のフィールドで調査を行い、マルチレベル分析などの多重構造モデルを応用した分析を行なう上で必要な機器をやソフトも購入する予定である。
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Research Products
(1 results)