2014 Fiscal Year Research-status Report
ソシオメトリ分析による地域社会の連携改善への介入が乳幼児う蝕抑制に及ぼす効果
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25463250
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
弘中 美貴子 九州大学, 歯学研究科(研究院), 研究員 (70615286)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嶋崎 義浩 九州大学, 歯学研究科(研究院), 研究員 (10291519)
古田 美智子 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (20509591)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 社会的決定要因 / う蝕 / 地域環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでは個人のリスク要因のみで語られることの多かった歯科疾患に対し、近年では地域要因の影響が報告されている。本研究では、乳幼児う蝕などに代表される口腔の疾患を対象に、個人の保健行動だけではなく、地域の保健環境を把握した解析を行なうことで、地域の特性が個人に与える影響を検討し、今後、地域環境への介入を進める上での基礎資料を得ることを目的とした。 う蝕経験状態と地域特性の関係について多角的に捉えるため、本年度は、熊本県の隣県である福岡県の学童においてう蝕の経験状態を地域別に評価した。福岡県は、熊本県と同様に全国平均に比べて12歳児の1人平均う蝕経験歯数が多い県である。福岡県内の19郡市区のうち、12歳児の1人平均う蝕経験歯数が全国平均より多い地域は14郡市(74%)もあった。福岡県は、福岡、北九州、筑後、筑豊の4地域に分けられるが、12歳児の1人平均う蝕経験歯数が全国平均より多い郡市の割合は、福岡地域で67%、北九州地域は67%、筑後地域は71%、筑豊地域は100%で、4地域間で差が認められた。地域特性として1人あたりの県民所得をみると、福岡地域は2,781千円、北九州地域は2,614千円、筑後地域は2,431千円、筑豊地域は2,236千円で、県民所得にも地域で差が認められた。統計学的有意差はなかったが、福岡県では、県民所得が低い地域ほど12歳児の1人平均う蝕経験歯数が多い傾向となり、う蝕経験状態は地域特性と関係することが示唆された。現在、郡市を細分化した学校区単位での12歳児の1人平均う蝕経験歯数や所得、歯科医院数、歯科医師・歯科衛生士数などの地域特性のデータを収集中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学童のう蝕経験状態と地域特性の関係を検討するにあたり、本年度は、郡市単位のデータを用いて解析した結果、う蝕状況は地域差が認められることを示した。う蝕経験状態を詳細に把握するため、学校区単位でのう蝕に関するデータを取得し解析する必要があり、現在のところ、歯科医院数や公民館数など地域特性のデータと併せて収集中である。
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Strategy for Future Research Activity |
学校区単位のデータを用いて、学童のう蝕経験状態は所得、歯科医院数、歯科医師・歯科衛生士数、公民館数などの地域特性と関係があるのかを検討する。解析結果に基づき、う蝕を保有している学童が多い地域にどのような予防対策が適しているかを検討する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は学童のう蝕経験状態の地域差を調べたが、地域特性との関連性を十分に検討しておらず、当初の計画と異なっているため当該助成金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
う蝕経験状態と地域特性の関係を検討するにあたり、情報収集やデータ解析を行う際に必要な物品や旅費などに助成金を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)