2015 Fiscal Year Annual Research Report
口腔細菌のリボスイッチ制御による口腔フローラ再構成への挑戦
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25463251
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柴田 幸江 九州大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30274476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 喜久 九州大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20192403)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | フッ化物耐性 / う蝕細菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず、Streptococcus mutansにおいてeriC-F-b遺伝子のみがフッ化物耐性に関与していることを確認するために、すでに作製済みのS. mutans eriC-F-b変異株にシャトルベクターを用いてeriC-F-b遺伝子を導入する相補実験を行なった。eriC-F-b遺伝子の導入はS. mutans eriC-F-b変異株のフッ化物耐性の回復という結果になった。同様に、Streptococcus anginosus sa-eriCA変異株においてもsa-eriCA 遺伝子の導入がフッ化物耐性を回復させた。これらの結果より、S. mutansにおいてはeriC-F-b遺伝子、S. anginosusにおいては sa-eriCA遺伝子がフッ化物耐性に関与している主要な遺伝子であることが明らかになった。 さらに、これらのフッ化物耐性遺伝子が両菌間で共通の機能を果たしているかどうかを調べた。S. mutans eriC-F-b変異株にsa-eriCA遺伝子を、そして、S. anginosus sa-eriCA変異株にeriC-F-b遺伝子を導入したところ、S. mutans eriC-F-b変異株では本来のeriC-F-b遺伝子で相補した場合よりもフッ化物耐性が増加し、S. anginosus sa-eriCA変異株では本来のsa-eriC遺伝子で相補した場合よりもフッ化物耐性が低下した。両遺伝子が両菌間で同じ機能を発揮できることが明らかになり、さらに、S. mutansとS. anginosusの野生株でのフッ化物耐性の違いが遺伝子そのものの違いによることが示唆された。 次に、crcB遺伝子とeriC-F遺伝子が両方存在するStreptococcus sanguinisについてフッ化物耐性遺伝子の同定を試みた。S. sanguinisは2つのcrcB遺伝子を有しており、両遺伝子ともフッ化物耐性に関与していた。一方、eriC-F遺伝子の失活はS. sanguinisのフッ化物耐性に影響を与えなかった。以上の結果より、口腔細菌の中にはeriC-F遺伝子がフッ化物耐性に関与するグループとcrcB遺伝子がフッ化物耐性に関与するグループが存在することがわかった。
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