2014 Fiscal Year Research-status Report
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25463255
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
田口 則宏 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30325196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志野 久美子(石川久美子) 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (50325792)
河野 博史 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (20507165)
吉田 礼子 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (60244258)
小川 哲次 広島大学, 大学病院, 教授 (50112206)
笹原 妃佐子 広島大学, 医歯薬学保健学研究院, 講師 (40144844)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 医療プロフェッショナリズム教育 / 地域・離島歯科医療 / アウトカム基盤型教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
【1.プロフェッショナリズム教育に関する質問紙調査】本年度は、平成25年度に準備を行った、1.鹿児島県歯科医師会会員対象の調査、2.大学等の歯科医師養成機関対象の調査について実施した。「1」の成果は平成26年11月の第7回日本総合歯科学会において報告した。「2」については、現在進行中である。 【2.本学で実施している地域歯科医療教育の見直し】上記「1」の調査結果から、「地域歯科医療」に関する教育は、現場で活躍している歯科医師が比較的高学年の学生を対象に実施するのがよい、といった意見が多く寄せられた。この結果より、昨年度に議論を開始した本学歯学部全体のカリキュラム改革の一つの柱として、地域歯科医療に関するコンピテンスの制定等について議論を開始した。平成26年7月教授会においてアウトカム基盤型教育に基づくカリキュラム改革が承認され、「地域歯科医療とヘルスプロモーション」としたコンピテンスが採用されたた。平成27年度入学生から新規カリキュラムを運用するに至った。 【3.モデル教育プログラム(地域歯科医療教育)の構築と拡充】前年度に開始したモデル教育プログラムは、参加者や受入れ施設からも非常に評価が高く、教育方略としてその有効性が示された。この結果は第33回日本歯科医学教育学会にて報告した。そこで今年度は、この実習をさらに拡充すべく、前年度の種子島、奄美大島、与論島に加えて、屋久島、奄美大島2(瀬戸内町)、徳之島、沖永良部島のコースを新規開発した。研究代表者は、これらの実習を取りまとめる委員会の長を昨年度から引き続き拝命しており、カリキュラムデザインから実習先との連携、学生管理等について統括する立場にある。現在は、これらの行程に対して学生の参加を募っており、実習を稼働させ様々問題点を洗い出し、できるだけ早く軌道に乗せ、より効果的な教育プログラムを開発していく必要があると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目的は、学部教育や歯科医師臨床研修における医療プロフェッショナリズムに関する教育プログラムの構築である。とりわけ、このような情意領域の教育は、医療者養成の比較的早期から行う必要があるという先行研究や、前年度に行った鹿児島県歯科医師会会員からの調査結果に基づき、本研究では学部教育における地域離島歯科医療実習の拡充に対して重点的に取り組むこととした。このようなカリキュラムは学生にとって、数日間の実習期間を複数回必要とするため、現行のカリキュラムにそのまま入れ込むことは技術的にも不可能であったし、十分なレディネスもないままの実習開始は、カリキュラムとしても不適切と考えられた。たまたま、本学ではアウトカム基盤型教育に基づくカリキュラム改革を断行する機運があり、この流れに載せて今回の地域離島歯科医療実習カリキュラムを新カリキュラムに組み込めたのは幸運であった。新カリキュラムでは、現行の3年生に開講している地域離島歯科医療学(座学)、6年生対象に行っている離島巡回歯科診療同行実習に加えて、2年生に開講する地域体験実習(幼稚園や介護施設での実習)、4年生の地域歯科医療実習Ⅰ(歯科診療所での見学実習)、6年生の地域歯科医療実習Ⅱ(4年生の実習のアドバンス版)、離島歯科医療実習など学年進行に合わせて、段階的に多くの実習を組み込むことに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までは、地域、離島における医療者教育に関して、その必要性は理解できていたものの、具体的な方策は見えていなかった。しかしながら平成26年度に、学部教員が一丸となって学部全体のカリキュラム構造改革とともに授業科目の詳細な見直しをする機会を得たため、本研究で必要性が明らかとなっていた内容を加えることに至った。カリキュラム改革は当然のことながら学年進行で入れ替わっていくため、全学年が新カリキュラムに入れ替わるには6年かかる予定である。その間、その時々の社会の要請や多方面からフィードバックを得ながら、より効果的かつ実質的なカリキュラムの運営を行っていく必要がある。本研究の成果は、これらの状況によって大きく発展していく可能性があり、さらなる追跡研究が必要となると考えられる。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、学部の教育改革と連動して本研究が大きく進展し、離島歯科医療実習に関わる新規実習コースの開発に積極的に取り組んだため、旅費等の不確定な支出が多く生じた。その結果、わずかながら次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究は順調にいけば、次年度に本実習の本格的な運用が開始されることに合わせて、大きな成果が生まれることも見込まれる。今回生じた次年度使用額は、成果の発表等で適正に執行される予定である。
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