2014 Fiscal Year Research-status Report
携帯型近赤外分光分析法(NIRS)により顎口腔サルコペ二アの前兆的変化を把握する
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25463268
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
小松崎 明 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (60256980)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | サルコペ二ア / 近赤外分光分析法 / 介護予防 / 口腔機能 / サーモグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に構築した試作測定システムの検証のため、一般成人および自立高齢者を対象として基礎データ収集を実施した。一般成人8名を対象とした測定結果の検証から、サーモグラフィー熱画像の測定レンジは、使用機材(NEC Avio F30S)の測定精度と温度変化の特徴を視覚的に捉えやすい24.0°C~40.0°Cに決定した。その結果をふまえ、冷却負荷法によるサーモグラフィー熱画像での皮膚表面温度の上昇中心を客観的に決定する手法を検討した。その結果、冷却域の上下・左右の長径の交点に加え、上昇温度と面積の積の最大値を算定し、その位置を参考として補正しNIRSでのターゲットを決定とすることとした。また、NIRSによる深部血流動態の把握については、唾液腺マッサージを想定した試験測定を実施し、唾液腺マッサージ手技の規格化や測定レンジに関する基礎データを得た。唾液腺マッサージ効果把握を想定した測定の実施パターンは、測定前レストに続いて30秒間の冷却負荷を実施し、解放後に1Hzでのタスクを5分間継続することとした。この手法によりoxy-Hbが低下した状態から継続して上昇する様子が観察できた。同様の方法により一般成人3名に測定を実施し、いずれの測定でも明確なoxy-Hbの上昇が把握できたことから、再現性の確認ができた。頬部皮下脂肪厚など影響因子が想定されたが、個人内比較についてはその影響は問題とならない程度と判断できた。ここまでの検証から、介護予防等を想定した機能訓練効果の把握などにも、本測定システムが活用できる可能性が示された。また、実際に自立高齢者1名に対しても、同様の測定を実施し若年者よりも小幅な変化であるがoxy-Hbの上昇を把握できた。高齢者の顎口腔サルコペ二アの把握のためには個人に対して継続的に測定を行い、時系列的に変化を把握することが重要と思われた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、2種類の測定機材を併用することから局所の血流の低下を捉え、より明確にサルコペ二アの影響を把握可能なシステムの開発を最終目標としている。研究2年度目となる本年度の計画としては、構築した試作測定システムの再現性の検証と、測定レンジや測定指標のクライテリアの決定などを想定しており、それらを完了できたことから研究計画はおおむね順調に進展していると評価した。しかし、各段階での測定において想定した対象数が得られなかったことから、研究最終年度においても継続して基礎データの収集は実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究最終年度として、測定システム、ハードウェア,ソフトウェアの最終的な測定モジュールを決定し、口腔状況の異なる一般成人、高齢者からのデータ収集を試み、得られたデータの解析用アルゴリズムを決定する。最終的な結果レポートの意義を検証し、完了までに40名以上の対象者に応用し個人内比較・集団応用の可能性について検証する予定である。得られた成果は国内外の関連学会で報告する予定である。また、研究成果の応用性の検証について、介護予防等での活用を前提としている点から、画像診断機材を使用する方法や、表層筋電法との比較について、ランニングコストの分析等を行い、経済性や応用性で優位に立つことを、介護現場で研究成果報告会を開催し紹介する。
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Causes of Carryover |
申請時当初に予定していた研究対象者が、研究協力機関である介護老人保健施設でのインフルエンザ等の発生により確保できなかったことと、NIRSの測定センサの破損が当初の予測よりも少数だったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究実績にも示したように、本年度に収集を予定していた基礎データの収集は引き続き実施するため、引き続き自立高齢者および要介護・要支援状態の調査対象者の確保に努め、予定していた対象数からデータが得られるよう計画している。また、2件の研究発表に引き続き口腔衛生学会雑誌への論文投稿を予定しており、助成金はこれらに使用する計画である。
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Research Products
(2 results)