2015 Fiscal Year Annual Research Report
ミュータンスレンサ球菌にフッ化物耐性を付与するフッ化物輸送タンパクの解明
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25463269
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
村田 貴俊 鶴見大学, 歯学部, 講師 (10313529)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花田 信弘 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70180916)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Streptococcus mutans / フッ化物 |
Outline of Annual Research Achievements |
フッ化物のう蝕予防機序は、歯質強化と再石灰化促進である。一方、フッ化物は、微生物のエネルギー産生経路を構成する酵素を阻害するため、う蝕関連細菌の増殖抑制に働く可能性がある。しかしながら、多くの微生物がフッ化物耐性を有することが知られていた。先行研究により、微生物にフッ化物耐性を付与する遺伝子とその遺伝子産物が報告された。遺伝子データベース解析により、う蝕関連細菌であるStreptococcus mutans (S. mutans)でも、フッ化物耐性に寄与すると推測されるSMU1290_c及びSMU1289_c遺伝子とその遺伝子にコードされるchloride channel permeaseの存在が明らかにされた。 前年度までの当該研究の成果として、①SMU1290_cまたはSMU1289_c、及びその両方の遺伝子を破壊したS. mutansがフッ化物耐性を失うことを示し、②フッ化物耐性遺伝子を破壊した大腸菌に対し、SMU1290_cまたはSMU1289_c遺伝子で形質転換するとフッ化物耐性が回復することを示した。以上の結果は、SMU1290_cおよびSMU1289_c遺伝子がS. mutansにフッ化物耐性を付与していることを示す。しかしながら、S. mutansにおいて、SMU1290_cまたはSMU1289_cの単独破壊のみでもフッ化物耐性を劇的に失うことから、「chloride channel permeaseを構成する二量体が、ヘテロとホモでは、フッ化物耐性の強度に影響を与えるのではないか?」という新たな疑問が生じた。 当該研究最終年度には、この疑問点解決のため、フッ化物耐性遺伝子を破壊した大腸菌に対し、SMU1290_cとSMU1289_c遺伝子を同時に発現する株を作成し、フッ化物耐性を評価した。その結果、フッ化物耐性はSMU1290_cまたはSMU1289_c遺伝子単独の形質転換株と変わらず、ヘテロ二量体の優位性を示すには至らなかった。しかしながら、S. mutansと大腸菌のタンパク質発現系の違いによる影響の可能性は否定できず、さらなる詳細な検討が必要である。
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Research Products
(5 results)