2013 Fiscal Year Research-status Report
肝炎患者の口腔環境が肝病態の進展や抗ウイルス治療効果に及ぼす影響の解明
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25463274
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
長尾 由実子 久留米大学, 医学部, 准教授 (90227992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐田 通夫 久留米大学, 医学部, 教授 (10162398)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | C型肝炎ウイルス / インターフェロン / 肝硬変 / 肝癌 / 口腔粘膜 / 扁平苔癬 / カンジダ症 / 歯周病菌 |
Research Abstract |
【目的】C型肝炎ウイルス(HCV)感染者の治療法と対策は急速な進歩を遂げている。しかし、わが国は他国に比べHCV感染者が高齢化しており、肝癌のハイリスク群が多い。一方、口腔扁平苔癬、シェーグレン症候群、口腔扁平上皮癌は、HCVが引き起こす肝外病変として知られ、口腔粘膜疾患や歯牙疾患はインターフェロン治療の有害事象として問題となる。そこで本研究では、口腔環境と肝線維化との相互関係を調査する目的で、インターフェロン治療時の口腔カンジダ症と口腔粘膜疾患の発現ならびに歯周病菌について探索した。【対象と方法】当病院消化器病センターで口腔診査を受けたHCV感染患者124名のうち、インターフェロン治療導入後に同センター内で肝臓と口腔のコンサルトを毎月同時に受けた患者は17名、14名が治療を完遂した。治療前・治療2週・3M・6M・終了・終了6Mに、舌苔からのカンジダ菌定性定量検査、口腔粘膜疾患診査、唾液量測定、体重測定、血液生化学検査、腹部エコー検査を行なった。治療中に少なくとも一度カンジダ菌を検出した患者(グループ1)と検出しなかった患者(グループ2)を比較した。また一方で、C型慢性肝疾患患者の歯周病菌fimA遺伝子型も同定した。【成績】カンジダ菌は50%に検出され、粘膜疾患の発現率は50%であった。 2グループ間で有意差を認めた項目は、粘膜疾患の存在・外用副腎皮質ホルモン剤使用・体重減少(各々P=0.0075、P=0.0308、P=0.0088)。全対象者がIFN治療中に唾液量が減少したが、終了後に改善した。多変量解析によるカンジダ菌検出のリスク因子は、粘膜疾患の存在であった(オッズ比36.00)。一方、歯周病菌の検索が行えた23名のHCV感染患者のうち、肝癌患者は9名であり、このうち67%がfimA2型であった。 【結論と考察】IFN治療を受ける患者は、口腔粘膜疾患の存在や体重減少に注意を払う必要がある。今後、歯周病菌の解析について詳細に検討予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対象患者の臨床試験参加は、順調に収集できているため、現在問題ない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、歯周病菌の解析については詳細に検討予定である。 すなわち、慢性肝疾患患者における肝進展化リスクについて、データベース化された対象者についてLogistic回帰 分析を行い、歯周病関連菌が肝病態の進展に関する独立した因子であるかを検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
論文掲載後に掲載料を支出予定である。現在、投稿論文がin pressではあるが、掲載待ちのため。 論文掲載後に、掲載料と別刷を支出する予定である。
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Research Products
(19 results)