2016 Fiscal Year Research-status Report
嚥下圧と舌圧を用いた神経筋疾患患者の嚥下機能評価に関する研究
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25463276
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
梅本 丈二 福岡大学, 医学部, 講師 (30320287)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪井 義夫 福岡大学, 医学部, 教授 (90291822)
古谷 博和 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (60253415)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 舌圧 / 咽頭内圧 / 嚥下造影検査 / 嚥下障害 / デュシェンヌ型筋ジストロフィー / 筋強直性ジストロフィー / 筋萎縮性側索硬化症 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】舌圧と嚥下圧は、嚥下機能にとって欠かせない要素であるが、神経筋疾患別の特徴はほとんど知られていない。この研究の目的は、神経筋疾患患者の舌圧と嚥下圧の特徴を示すことである。【方法】デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)17名、筋強直性ジストロフィー(DM1)32名、筋萎縮性側索硬化症(ALS)26名の舌圧と5ml液体嚥下時の嚥下造影検査と咽頭内圧の測定を行った。複数回嚥下を行った際の、下咽頭圧と食道入口部の圧変化を測定し、その最大値について分析した。【結果】DMD群の舌圧(21.7±7.8kPa)は、他の2群(DM1群,13.9±6.4kPa; ALS群,13.5±10.2kPa)よりも有意に高かった(p<0.01)。またDM1群の嚥下圧(下咽頭,51.1±29.9mmHg; 食道入口部,95.6±92.2mmHg)は、他の2群(DM1群の下咽頭,95.1±42.4mmHg; DM1群の食道入口部,217.9±135.4mmHg; ALS群の下咽頭,111.0±32.4mmHg; ALS群の食道入口部,160.8±75.8mmHg)よりも有意に低かった(p<0.01)。DMD群では食道入口部の圧変化と年齢の間に(R=-0.05, p=0.045)、DM1群では下咽頭圧の変化と舌圧の間に(R=0.421, p=0.016)有意な相関関係が認められた。ALS群では下咽頭圧の変化と重症度(ALSFRS-R)の間に有意な相関関係が認められた(R=0.435, p=0.030)。【結論】DMD患者は舌圧と食道入口部の内圧を維持していたが、加齢とともに低下する傾向にあった。DM1患者は舌圧と下咽頭圧が著明に低下していた。ALS患者は舌圧が著明に低下し、下咽頭圧は維持していたが、ADLとともに低下していた。神経筋疾患は嚥下関連筋に筋力低下を示すが、嚥下機能の低下にはそれぞれの特徴があり、その特徴に見合った対応方法を提供する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
デュシェンヌ型筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症などの筋疾患については、症例数が確保でき、統計学的分析も可能となった。 その一方で、パーキンソン病やその関連疾患については、嚥下障害の原因が筋力以外に認知機能などを含めて多岐にわたりこともあり、舌圧や嚥下圧と嚥下機能の間に特徴的な傾向を捉えるに至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
デュシェンヌ型筋ジストロフィー、筋強直性ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症などの筋疾患については、今回得られた舌圧や嚥下圧のデータから、嚥下障害を管理する上での食形態の調整方法などについて提示したい。 また、眼咽頭型筋ジストロフィーなどの希少疾患についても結果を公表し、他の筋疾患との違いを明らかにしたい。 パーキンソン病やその関連疾患については、舌圧や嚥下圧以外に嚥下障害の原因として考えられる要因について分析し、嚥下障害を管理する上での対策を検討したい。
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Causes of Carryover |
査読中の論文があり、投稿料が確定していなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文投稿料として使用する予定。
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