2013 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の効率的歯科介入ニーズ評価法を用いた歯科と多職種連携栄養サポートプログラム
Project/Area Number |
25463280
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
守屋 信吾 国立保健医療科学院, その他部局等, その他 (70344520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 宏子 国立保健医療科学院, その他部局等, その他 (10183625)
越野 寿 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90186669)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯科介入 / ニーズ評価 / スクリーニング |
Research Abstract |
本年度は、地域高齢者において、多職種で活用可能な歯科的介入のニーズ評価方法の開発が第一目標であった。そこで、統計学的重みを考慮したスコアリングシステムによるスクリーニングツールの作成を試みた。 271名の地域自立高齢者を対象として、問診により基本属性、社会背景、生活習慣、口腔の保健行動および自己評価咀嚼能力について調べ、口腔内診査により歯数、OHI、CPIを調べた。口腔衛生状態不良者をCPIコード3以上かつOHIスコアー3以上の者とし、これを従属変数して他の因子を独立変数として、ステップワイズ法による多重ロジスティック解析を行った。有意な関連を示した因子の回帰係数を統計学的重み指標と考え、対象者ごとに選択した因子の回帰係数の合算により点数化し、口腔衛生状態不良者予測スコア(PPOH: Predictive score of Poor Oral hygiene)とした。さらに、各点数をカットオフ値と仮定し、それぞれにおいて感度・特異度を算出した。結果と考察271名中107名(39.5%)の者が口腔衛生状態不良者と判定された。有意な関連を示したのは、年齢75歳以上、男性、1年以上歯科未受診、歯磨き回数1日1回以下、自己評価咀嚼能力概良・不良であった。ROC下面積は0.76で、予測スコア1.5以上あるいは1.6以上を口腔衛生状態不良の陽性者と判定した場合、それぞれ感度78.5%・特異度56.7%あるいは、感度72.9%・特異度64.4%であった。 歯周病が進行しかつ口腔衛生状態の不良な者を8割近い感度でスクリーニングできることから、歯科専門職以外の者が実施する一次スクリーニング法としては、有用であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の調査目的は、(1)診査された歯科的介入ニーズに有意な関連を示す問診・アンケート要因を、多重ロジスティック解析により明らかにすること、(2)回帰係数(統計学的重み)から各リスク要因を点数化して、各個人ごとに、選択したリスク要因の点数を合計して予測値とし、予測値ごとにプロットしたROC曲線を求め、その曲線下面積により、スクリーニングの精度を評価すること、(3)次に、予測値ごとの感度・特異度を求めこのうち最も感度・特異度が高くなる予測値を、歯科的介入ニーズスクリーニングのためのcut-off値と定めること、(4)このcut-off値より高い予測値の者を歯科介入対象者と判定し、簡便な問診による項目でのスクリーニングとすることであった。この計画手順に従い、スクリーニングを確立し、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率を明らかにし計画を概ね達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
地域高齢者を対象として、健康栄養調査を実施し、栄養ハイリスクグループを管理栄養士が選定し、さらにこの者の中から、今回作成した簡便な問診によるスクリーニング法を用いて、歯科的介入ニーズの対象者を選定する。 研究に同意が得られた者を男女別に、完全無作為化法により栄養介入群(A群)および栄養介入と歯科的介入の併用(B群)に割り付ける。主要評価項目の血清アルブミン、体重変動、握力、開眼片足立秒数について、これまでの予備的調査から、検出力0.8、有意水準0.05で有意となる対象数を計算し、途中中断する症例も考慮して必要対象数を見積もると、少なくとも各群120名の対象が必要となる。 栄養介入は管理栄養士より実施され、直接の栄養教育(個々の栄養摂取状況に合った具体的な食事指導、調理方法の指導)および食環境的教育(パンフレットやポスター)が行われる。栄養指導は、対象者と栄養問題の共有、自己目標の設定(栄養問題解決のための管理栄養士によるアドバイス)、目標達成をより具体的に進めるための相談(途中経過把握と食事・栄養管理方法へのアドバイス)、目標達成について自己評価して自分で栄養管理できるようになった力を確認、次の目標設定から構成される。歯科的介入を併用するB群では、対象者に口腔健康管理の重要性を十分に説明したうえで、歯科への受診勧奨を実施し、さらに追跡調査により受診状況を確認する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
分担研究者の二人が、分担研究費の限度内で、咀嚼機能評価、統計解析の部分を実施することが可能であったため。 分担研究者の二人は、次年度使用額分を、さらに詳細な咀嚼機能分析と統計分析を実施するために充当する予定である。
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Research Products
(8 results)