2014 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の効率的歯科介入ニーズ評価法を用いた歯科と多職種連携栄養サポートプログラム
Project/Area Number |
25463280
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
守屋 信吾 国立保健医療科学院, その他部局等, その他 (70344520)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 宏子 国立保健医療科学院, その他部局等, その他 (10183625)
越野 寿 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (90186669)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スクリーニング / 栄養 / 口腔機能 / 高齢者 / 地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域高齢者331名において、咀嚼能力(自己評価咀嚼能力、咀嚼力判定試験: 咀嚼力判定ガム)と口腔内状況との関連性、さらに、これらの指標と管理栄養士が評価分析した連続しない二日間の習慣的摂取状況を調べる食事記録法による食事摂取状況調査結果(欠食の状況、料理の状況:主食、主菜、副菜の摂取状況、摂取する食材の種類数、食品群別摂取状況)との関連を明らかにした。 自己評価咀嚼能力と歯数、咬合支持(歯および義歯)との相関関係はそれぞれ相関係数(ρ)=0.29(p<0.001)、ρ=0.32(p<0.001)であり、咀嚼力判定試験ではρ=0.56(p<0.001)、ρ=0.58(p<0.001)であった。また、残存による咬合支持を喪失している者では、義歯の客観的な適合度(歯科医師により維持・安定を10点のスコアで評価)は、自己評価咀嚼能力とは相関しなかったが、咀嚼力判定試験とは有意な相関関係ρ=0.33(p<0.001)がみられた。これらより、歯科専門職以外でも使用可能な咀嚼力判定ガムによる咀嚼力判定試験結果は、機能面で重要となる残存歯、咬合支持、義歯適合度の損なわれた者を、スクリーニングするための有用なツールになる可能性が示唆された。 咀嚼力判定試験と食事記録法による食事摂取状況との関連性をみると、一日の平均食材種類数は、咀嚼力判定試験が良好である者15.3、概良14.0、不良10.2(p<0.001)で、さら緑黄色野菜、それ以外の野菜、肉類の摂取頻度と正の相関がみられた。自己評価咀嚼能力においても、同様の結果がみられた。また、咀嚼能力の低下した者では、欠食や主食・主菜・副菜を揃えている者の割合が低下する傾向がみられた。以上より、口腔内状況が損なわれ咀嚼能力が低下することは、摂取する食材種類数の低下、中でも野菜や肉類の摂取頻度の低下の一つの要因になることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に明らかにした歯周病の歯科的介入ニーズに加え、機能面でのニーズ評価指標についての調査研究を行った。その結果、いくつかの評価指標の中で、口腔内の咀嚼機能に関わる状況、すなわち歯数、歯や義歯による咬合支持、義歯適合度について、咀嚼力判定試験(咀嚼力判定ガム)が最も高い相関係数を示すことを明らかにした。さらに、この指標は管理栄養士が評価分析した食事摂取状況や食品群別摂取状況と密接な関連があることも示された。したがって、高齢者の地域歯科保健活動の実践において、咀嚼力判定試験を評価指標として用いることは食事・栄養状態の損なわれているハイリスクグループをスクリーニングする意義もあることを示した。以上より、研究計画を概ね達成したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果から明らかになった口腔内状況の介入ニーズの評価指標を用いて、地域自立高齢者から歯科的介入対象者をスクリーニングする。これらの者は、栄養障害のハイリスクグループでもあるため、さらに管理栄養士により詳しい食事・栄養状況の評価を実施する。食事・栄養状況は、食事記録法(連続しない2日間で習慣的摂取)により、欠食の状況、料理の状況(主食・主菜・副菜を揃えているかどうか)、摂取する食材の種類数、食品群別摂取頻度について評価を行う。これらの評価結果によりニーズに応じ、介入対象者をA群(歯科単独介入群)とB群(歯科的介入および栄養指導併用群)に振り分ける。A群には歯科受診勧奨を行い、B群には歯科受診勧奨と管理栄養士による栄養指導を実施し、介入前後で咀嚼能力、食事・栄養摂取状況を評価する予定である。
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Causes of Carryover |
分担研究者の二人が、分担研究費の限度内で、咀嚼機能評価、統計分析の部分を実施することが可能あったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
分担研究者の二人は、次年度使用額分を、さらに詳細な咀嚼機能評価と統計分析を実施するために充当する予定である。
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Research Products
(9 results)