2013 Fiscal Year Research-status Report
対患者コミュニケーションにおける「聴く技術の自己評価ツール」の開発
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25463295
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
杉浦 浩子 岐阜大学, 医学部, 准教授 (60252152)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 対患者コミュケーション / 映像 / 情報収集 / 情報処理 / 聴く技術 |
Research Abstract |
25年度は,「聴く技術の自己評価ツール」(SELS)の作成を行った。自己評価ツールは,患者のメッセージ発信場面を映像で設定し,その映像を見た看護師が,どのような情報を得て,何を感じたり考えたりしたか,を記載する。そして,記載内容から自己の情報収集および処理の傾向を知る,という一連のシステムである。 映像化するメッセージ発信場面は,「自己の情報収集および情報処理の傾向」が出やすい場面でなければならず,シナリオ作成が大変重要となる。以前の研究では,4場面設定したが,そのうち2場面は回答の違いが明確にならなかった。その結果をふまえて,複数の研究者でシナリオを十分に吟味し,次の5場面を設定した。①家族関係がよくない息子が,入院した父親に対して冷たい発言をする場面,②病気をしたことがない高齢の女性が健診で要検査となり入院し,悪い病気だと思い込んでいる発言をする場面,③虫垂炎で緊急入院となり,身体の不自由な夫が心配であると繰り返し訴える場面,④糖尿病の管理が不十分で入院したが,これから先も管理する意識がない発言をする場面,⑤入院した子どもに対する看護師の対応が悪いと感情的に詰め寄る場面 とした。 専門業者への委託によって,場面の撮影から,映像化,パソコン上で映像を再生するシステムの構築を予定していたが,回答入力システムの構築までが可能となり,年度内に完成した。このシステムは,5つの場面のメニューが表示され,いずれかの場面を選択すると再生が始まり,再生終了後,回答記入画面となり,回答を入力すると,その場面は終了となる。一度再生した場面は,再び再生することができないようになっており,回答は,パソコン内に自動保存される。また,メニューに置く場面は5つの中から管理者が自由に設定できるようになっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
25年度の研究計画は,聴く技術の自己評価ツールの中の「メッセージ発信場面の映像化」を行い,「自己評価の指標の作成」に入るところまでであった。「メッセージ発信場面の映像化」は年度内に終了し,計画通りである。 当初の計画では,パソコン上で回答入力をするシステムは考えていなかったが,回答入力システムの構築までが予算内で可能となったため,そのように一部変更した。それにより,「自己評価の指標の作成」はプレテスト実施後に行った方が効率的であると考え,年度内には着手しなかった。しかし,回答入力システムの構築は今後の計画の実施効率を格段に上げるため,研究の進捗状況は順調といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度に作成したシステムを用いて,学生を対象にプレテストを実施する。その回答傾向から,「自己評価の指標の作成」と本テストに利用する場面の選定を行う。その後,本テストへの協力者を募り,本テストを実施する。また,本テストの実施者に,臨床場面のプレセスレコードを記載してもらい,本テストで得られる聴く技術の傾向と一致するかを確認する。一致度が上がるように「自己評価の指標」の修正を行い,指標が決定すると,『聴く技術の自己評価ツール』が完成となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
メッセージ発信場面の撮影,映像化,パソコン上ので映像再生~回答入力システムの構築を専門業者に委託した。回答入力システムは当初予定になかったため,2,000千円の予算を上回ることを予想し,商品の納入まで予算執行を最小限とした。金額は1,995千円であったが,商品納入が年度末であったため,残額分を執行できなかった。 26年度は,作成したシステムを用いた調査を実施するための複数台のタブレットを購入する予定である。前年度の残額は,タブレット代として調整する。
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