2013 Fiscal Year Research-status Report
地域で活用できる感染予防の為のE-Learningシステムの開発と活用成果の検証
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25463306
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
南家 貴美代 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (80264315)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 感染管理 / 医療関連感染 / 中小病院 / 診療所 |
Research Abstract |
地域における医療関連感染拡大防止に関する研究の一環として昨年実施した高齢者介護施設を対象とした調査の分析を進めた。その結果、高齢者介護施設では医療機関および他の高齢者介護施設から利用者を受け入れる際に、施設の特徴に起因する課題だけでなく、転入元の施設や病院からの情報提供がないことなど病院や施設との連携やシステムに由来する課題を抱えていることが明らかとなった。さらに、今年度、熊本県内の300床未満の病院と診療所を対象に質問紙を用いて、感染管理体制や感染予防対策の実態調査を実施した。その結果からは300床未満の医療施設においても感染対策委員会の設置や感染対策マニュアル作成など、組織的な取り組みは進んできていることが分かった。しかし、マニュアルを作成していても定期的な見直しをしている施設は少なかった。また、採血の際に手袋を着用することや患者ごとにエプロンを交換するといった、適切な感染予防行動がとれていない施設も多いという結果であった。さらに、これらの行動や感染管理担当看護師が必要性を感じている学習内容は施設の規模によって異なることが示唆された。一方、他の病院や施設との情報共有や情報交換は比較的できていると回答した施設が多く、高齢者介護施設との相違がみられた。 以上のことから、地域における医療関連感染拡大予防のためには医療施設および高齢者介護施設や在宅まで視野に入れ、医療施設や高齢者介護施設の状況に応じたより具体的な支援を行っていくことの必要性や各施設間での連携、情報共有の強化が重要であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高齢者介護施設における感染管理体制の課題や県内の医療施設全体の傾向は把握できた。しかし医療施設の規模ごとの感染予防管理体体制の整備状況や高齢者介護施設や医療施設で必要とされる教育支援についての詳細な分析はこれからである。
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Strategy for Future Research Activity |
感染管理体制の整備状況や感染予防行動の取り組みなどについて、医療施設の規模ごとに詳細な検討を行い、医療施設の規模に応じた支援内容や教育プログラムやコンテンツを検討していく。 また、当初、九州圏内の医療施設から医療施設の規模ごとに無作為抽出された医療施設を対象にすることを考えていたが、医療施設における感染予防体制の整備の取り組みは、国の施策を受けての各地方自治他体毎の取り組みが影響する。したがって、感染管理体制や課題は地方自治体による差があると考えられるため、熊本県内の医療施設を対象に進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アンケート調査に必要な郵送費等について、他の郵送物を送る際に同封して送付したため、郵送に関わる費用の使用がなかった。また医療機関を対象としたについては詳細な分析が途上であるため、教育プログラムやコンテンツに関する打ち合わせを行ったり助言をもらう機会がなかった。 熊本県内の医療機関の分析を進め、感染管理認定看護師らから助言をもらいながら、教育プログラム及びコンテンツ作成を進めていく。また、地域における感染拡大予防の取り組みの一つとして、高齢者介護施設における感染管理についても全国調査を行っており、次年度、日本における高齢者介護施設の感染管理上の課題に関する調査結果としてアメリカでの学会で発表する。また、感染管理の先進国であるアメリカの医療施設を訪問し、感染管理の取り組みについて情報収集を行う。それらに関連する費用が必要になる。
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Research Products
(2 results)