2014 Fiscal Year Research-status Report
がん化学療法に携わる看護師の気付きに着目した抗がん剤皮膚・血管傷害への実証的研究
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25463311
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
及川 正広 岩手県立大学, 看護学部, 助教 (60537009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 昭彦 岩手県立大学, 看護学部, 准教授 (30305255)
武田 利明 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (40305248)
三浦 奈都子(小山奈都子) 岩手県立大学, 看護学部, 講師 (40347191)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抗がん剤 / 血管外漏出 / ステロイド / 罨法 |
Outline of Annual Research Achievements |
看護系学会学術集会演題発表では、抗がん剤漏出時のステロイド作用に関する内容に対し、看護師から非常に高い関心を示された。本年は、ドセタキセル、パクリタキセル、イダルビシンの起壊死性抗がん剤に対して、ステロイド局所作用の検討を行ったが、明らかに効果を示す知見は得られなかった。この結果に対し看護師からは、「ステロイド注射をした後、特に悪化しなかったので効果があると思っていた」などの返答が聞かれ、「悪化しない」が「効果」として捉えていることがわかった。しかし、知見の共有を行っていく過程で、「確かに局所注射を実施する時に患者が激痛を訴えることがあり、不安に思うことがある」、「炎症を起こしている箇所に針を刺すのには抵抗がある」などと話す看護師も多くいた。このことから、看護師の気づきがケアへと繋げられていないケースも考えられ、実証的に検討し客観的知見を示すことにより、気づきの感度も高められるのではと考えた。一方、実際にステロイドの作用に疑問を持ち、マニュアルを廃止した施設の看護師からは、本研究の知見が裏づけの1つとなっていることが確認できた。今年度は3種類の抗がん剤に対する検討結果であったが、ヒトでの検証が難しい事象を客観的に検討し看護師に還元することが、看護師の気づきやケアの自信に繋がっていくことが、結果発表を通してより確信した。 また、看護師が皮膚の傷害像を、非侵襲的に客観性を持ち示せるよう、サーモグラフィーや皮膚エコーを行っての観察法について、学術集会にて発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
抗がん剤漏出時のステロイド作用に関する学会発表を通して、ステロイドの作用に疑問を持ち、局所注射を中止した施設の看護師と情報共有を行うことができた。本研究と臨床でのデータが同様の知見を示しており、今後はさらに看護師との情報共有を深め、看護師の気づきに沿った、実証的研究を行う機会を得ることができた。また、本年度は看護系雑誌に論文1編、学術集会で3演題発表することができ、達成度は、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年、情報共有を行った看護師から、さらなる気づきについて情報を得る。また、看護系学会学術集会演題発表、看護師との交流会などを通し、今、関心を示している抗がん剤による皮膚・血管傷害は何を確認する。それらを元に研究を行い、論文、学術集会演題発表を通し臨床に還元する。
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